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学習者の出身国について知ろう!-①インドネシア

皆さんが日本語を教えている学習者はどこから来ていますか。学習者の出身国、出身地域についてどれぐらい知っていますか。日本語や日本文化を教えるだけでなく、学習者の国や文化にも関心を持ち、少しでも知っておくと、思いがけない会話のきっかけになったり、学習者の考え方を知る手掛かりになったりすることもあるかもしれません。今回はインドネシアについてご紹介します!

インドネシアの基本情報

国名 インドネシア共和国(The Republic of Indonesia)

首都 ジャカルタ

人口 約2億4千万人

宗教 国家五原則(パンチャシラ)第一原則で信仰の自由を認めている。国民の9割近くがイスラム教。その他キリスト教、仏教、ヒンドゥー教

言語 インドネシア語(バハサ・インドネシア)。各地域でジャワ語、バタック語、スンダ語、バリ語などが使われている。

ジャワ島、スマトラ島、カリマンタン島など大小さまざまな島からなる東南アジアの大国インドネシア。日本とインドネシアの間で経済連携協定(EPA)が締結されたことにより、2008年から毎年看護師・介護福祉士候補生としてたくさんの人が来日しています。その他、留学、技能実習、特定技能など日本で勉強し、働きたいと考え、本国で勉強を続ける人もたくさんいます。

まずは食文化から インドネシア料理

バリ島を除くほとんどの地域で広くイスラムの文化習慣を基礎として毎日の生活が動いています。町のあちこちにあるモスクから1日5回の礼拝を知らせるアザーンが流れ、金曜日には男性はお祈りのためにモスクへ行くので、お昼休みが長くなります。ラマダーン(断食月)は短縮授業となり、年2回のレバラン(イスラムの祝日、お盆とお正月のようなもの)は1-2週間のお休みです。

日本にいて一番身近に体験できるインドネシア文化はやはり料理でしょう。ナシ・ゴレン(ナシ=ご飯、ゴレン=炒める、揚げる)、ミー・ゴレン(ミー=麺)が有名ですが、それ以外にもレンダン(スパイシーな牛肉の煮込み)、ガドガド(甘いピーナッツソースのサラダ)、サテ(鶏肉やヤギ肉の串焼き)など様々な料理があります。辛いパダン料理、甘いジャワ料理、さっぱりしたスンダ料理など地方によっても特色があるので、お近くでインドネシア料理店を見かけたらぜひ試してみてください。その際には担当クラスの学生にアドバイスをもらったりすると、おしゃべりのきっかけになるのではないでしょうか。

レストランに行くのが難しければ、アジアスーパーや最近は普通のスーパーでもインドネシアのインスタントラーメンを見かけます。一番有名なのはIndomie(インドミー)です。中国や韓国のラーメンともまた違った味がします。イスラム教徒でも食べられるラーメンということで、他のイスラム系の国でも人気がありますので、これも思わぬところで話が弾むかもしれません。

まじめでおしゃべりでシャイ? インドネシアの学習者

東南アジアの国々の多くがそうであるように、インドネシアの人びともまじめで先生を尊敬します。人なつこくおしゃべりも大好き。ただそれが日本語(外国語)での会話となると途端にシャイになってしまう人が多いようです。そして、南国の気候がそうさせるのか、やはりあまり時間に厳格とは言えない面もあります。「ジャム・カレッ(ト)=ゴム時間、伸びたり縮んだりする時間」という言葉もあるように日本人から見るととてものんびりしているように見える人が多いです。人によっては「日本では時間を守ることがとても大切である」ということを根気強く説明する必要があるかもしれません。

世界一易しい? インドネシア語

「日本語は世界で一番難しい言語だ」と言う日本人を時々見かけますが、インドネシア人は「インドネシア語は世界で一番易しい言語です」と言います。本当に世界で一番易しいかどうかはさておいて、アルファベット表記でローマ字読みすればだいたいOK、単語を並べると基本的なコミュニケーションは成立するので、とてもとっつきやすい言語であることは確かです。自分が海外に行ったとき、挨拶でも日本語でしてくれると相手に親しみが湧きますよね。ぜひひとつふたつ覚えてみてください。カタカナ読みでも通じます。

おはようございます スラマッ パギ

ありがとう-どういたしまして テリマ カシー - サマサマ

お元気ですか-元気です アパ カバール?- バイク サジャ

大丈夫(問題ない) ティダ アパアパ

初級で「日曜日何をしましたか」「明日何をしますか」という質問をよくしますが、「デパートを散歩します」という答えが返ってくることがあります。これはインドネシア語の「ジャラン・ジャラン」から来たものです。「ジャラン」はひとつだけだと「通り」という意味の名詞ですが、「ジャラン・ジャラン」と繰り返すと「ぶらぶらする、散歩する」あるいは「旅行する」という意味になります。ですから、「デパートを散歩する」とは「特に買うものもなくデパートの店をぶらぶら見て回って時間をつぶす」ぐらいの意味です。逆に「お金があったら、日本へ散歩したいです」とは、もちろん「日本へ旅行したいです」の意味になります。インドネシアの学習者に限らず、初級の段階では母語を日本語に直訳して使ってしまうことがよくありますね。

いかがでしたか。学習者の出身国や地域、言語をひとつひとつ詳細に勉強するのは現実的ではありません。しかし、相手のことに興味を持ち、教師側からも「知りたい、教えてほしい」というシグナルを送ることで、学習者にも「伝えたい」という気持ちを芽生えさせることは可能なのではないでしょうか。そして、その気持ちが「もっと日本語で上手に話したい」というモチベーションにつながれば、おとなしかった学生が教室で積極的に話し始める日も遠くないかもしれませんね。

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