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【速報】令和3年度日本語教育能力検定試験 実施要項発表

日本語教育能力検定試験の主催団体である公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)から、令和3年度日本語教育能力検定試験の実施要項が発表されました。昨年からの変更点がありますので、受験される方はご注意ください。

実施要項の詳細はこちらをご確認ください。

出願期間と受験料に注意

これまで日本語教育能力検定試験の実施要項は、毎年1月に発表になっていました。2021年も主催団体のホームページ上では当初は、「1月末発表予定」と案内されていましたが、その文言が「決まり次第」となり、3月下旬になっていよいよ発表されました。発表された要項を見ると、新型コロナの影響が強く見て取れるように思います。

まず、試験の内容や方法については大きな変更はありません。試験日や試験地、合格発表日もほぼ例年通りです。出願期間については、一昨年までは6月下旬から8月上旬までというのが一般的でしたが、昨年はコロナの影響で7月下旬から8月上旬の2週間と極端に短くなりました。今年はそこまで短くはありませんが、それでも7月上旬から8月下旬の1カ月弱と短めの設定になっています。受験される方は出願し損なうことがないように注意しましょう。

また、受験料が昨年までの10,800円(税込)から14,500円(税込)と大きく値上がりしています。これは主催団体のホームページによれば、「令和3年度の実施にあたっては、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の予防措置、試験会場確保及び実施体制に係る費用が増加するため、受験料を改定せざるを得ないことをご理解ください」とのことです。

昨年の受験会場でも、受験者を座席の間隔を空けて着席させるため、試験の実施に当たっては通常より多くの教室や会場が必要になると思われました。また、まだ新型コロナが収束していない状況では、試験会場を確保するのも通常より大変なことだと思います。予防措置のために検温チェックをするなど、試験当日の運営のための人員も通常より多く必要になると思われます。そのように会場費や人件費などの運営に関わるコストは明らかに増えるでしょうから、受験料が上がるのもやむを得ないのかもしれません。とはいえ1回の試験の受験料としては決して安くない金額です。

試験要項

試験要項のポイントをまとめます。

【出願期間】令和3年7月5日(月)から8月2日(月)まで(当日消印有効)(予定)

【試験日】令和3年10月24日(日)9:00~16:40

【受験料】14,500円(税込)

【試験地】(予定)】北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州

【合否結果通知の発表】令和3年12月24日(金)(予定)

令和4年度の試験から出題範囲が移行

令和3年度の試験ではないのですが、出題範囲の中に気になる記載を見かけました。

出題範囲
次の通りとする。主要項目のうち、「基礎項目」(太字)は優先的に出題される。 ただし、全範囲にわたって出題されるとは限らない。
※ 令和 4 年度の試験より「必須の教育内容※」に準じた出題範囲へ移行する予定。

この「必須の教育内容」については、

※ 詳細は文化審議会国語分科会が取りまとめた「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告) 改定版」のp43「日本語教師【養成】における教育内容」を参照。

とあります。

「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告) 改定版」はこちらからご確認ください。

令和3年度(2021年実施)までの試験範囲における「基礎項目」と、令和4年度(2022年実施)以降の試験の「必須の教育内容」を、対比させて整理すると以下のようになります。目指す方向性は大きくは変わらないように思いますが、「必須の教育内容」では「基礎項目」にはなかったような項目もいくつか挙げられています。また、項目の整理の仕方や用語が微妙に変わっているところもあります。

令和3年度(2021年実施)までの試験範囲における「基礎項目」と、令和4年度(2022年実施)以降の試験の「必須の教育内容」

~令和3年度試験(2021年実施) 令和4年度試験(2022年実施)~
5区分   出題範囲(基礎項目) 出題範囲(必須の教育内容)
社会・文化・地域 世界と日本 ・日本の社会と文化 ・世界と日本の社会と文化
異文化接触 ・異文化適応・調整 ・日本の在留外国人施策
・多文化共生(地域における共生)
日本語教育の歴史と現状 ・日本語教育史
・言語政策
・日本語及び日本語教育に関する試験
・日本語教育史
・言語政策
・日本語の試験
・世界と日本の日本語教育事情
日本語教員の資質・能力    
言語と社会 言語と社会の関係 ・社会文化能力
・言語政策
・社会言語学・言語社会学
・社会言語学
・言語政策と「ことば」
言語使用と社会 ・待遇・敬意表現
・言語・非言語行動
・コミュニケーションストラテジー
・待遇・敬意表現
・言語・非言語行動
異文化コミュニケーションと社会 ・多文化・多言語主義 ・多文化・多言語主義
言語と心理 言語理解の過程 ・談話理解 ・談話理解
・言語学習
言語習得・発達 ・習得過程(第一言語・第二言語)
・中間言語
・ストラテジー(学習方略)
・習得過程(第一言語・第二言語)
・学習ストラテジー
異文化理解と心理 ・異文化受容・適応 ・異文化受容・適応
・日本語の学習・教育の情意的側面
言語と教育 言語教育法・実技(実習) ・実践的知識・能力
・コースデザイン(教育課程編成)、カリキュラム編成
・教授法
・評価法
・教育実技(実習)
・自己点検・授業分析能力
・誤用分析
・教材分析・開発
・教室・言語環境の設定
・目的・対象別日本語教育法
・日本語教師の資質・能力
・日本語教育プログラムの理解と実践
・教室・言語環境の設定
・コースデザイン
・教授法
・教材分析・作成・開発
・評価法
・授業計画
・教育実習
・中間言語分析
・授業分析・自己点検能力
・目的・対象別日本語教育法
異文化間教育・コミュニケーション教育 ・異文化間教育・多文化教育
・コミュニケーション教育
・言語間対照
・異文化間教育
・異文化コミュニケーション
・コミュニケーション教育
言語教育と情報 ・メディア/情報技術活用能力(リテラシー)
・教材開発・選択
・日本語教育とICT
・著作権
言語一般 言語の構造一般 ・世界の諸言語
・一般言語学・日本語学・対照言語学
・一般言語学
・対照言語学
日本語の構造 ・日本語の構造
・音声・音韻体系
・形態・語彙体系
・文法体系
・意味体系
・語用論的規範
・文字と表記
・日本語教育のための日本語分析
・日本語教育のための音韻・音声体系
・日本語教育のための文字と表記
・日本語教育のための形態・語彙体系
・日本語教育のための文法体系
・日本語教育のための意味体系
・日本語教育のための語用論的規範
言語研究    
コミュニケーション能力 ・受容・理解能力
・言語運用能力
・社会文化能力
・対人関係能力
・異文化調整能力
・受容・理解能力
・言語運用能力
・社会文化能力
・対人関係能力
・異文化調整能力

赤字は現行試験の「基礎項目」と比較して、令和4年度以降の試験の「必須の教育内容」で変化・増加していると思われるところです。なお、この「必須の教育内容」は、今後実施されるであろう公認日本語教師を認定するための「日本語教育能力を判定する試験」の出題範囲でもあります。

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