7月9日(木)に第1回「日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」が文化庁のWEB会議で行われました。これは、2020年3月に文化審議会国語分科会日本語教育小委員会がとりまとめた「日本語教師の資格の在り方について(報告)」を受けて、ここで提言された日本語教師の資格制度について詳細に検討する場として設けられたものです。いよいよ公認日本語教師の資格制度設計に向けた具体的な動きがスタートしました。
「日本語教師の資格の在り方について(報告)」の確認
まずは、「日本語教師の資格の在り方について(報告)」の中で公認日本語教師について提言されたことを確認しておきましょう。以下、その概要です。
【課題】
在留外国人の増加・多様化が進み、優れた日本語教師の養成と確保が課題となっている。
【目的】
日本語教師のキャリアパスの一環として、資格制度を整えることにより優れた日本語教師を養成・確保して我が国の日本語教育の質を向上させる。
【審議経過】
2018年から文化審議会国語分科会に日本語教育小委員会を設置し審議を開始し、国民への意見募集を経て、2020年3月に報告を取りまとめた。
【公認日本語教師の3つの資格取得要件】
要件1:日本語教育能力を判定する試験に合格
要件2:教育実習の履修・修了
要件3:学士以上の学位
【経過措置】
法務省が告示をもって定める日本語教育機関の教員要件を満たす者
・ 大学等で日本語教師養成課程を履修(26単位以上)し修了した者
・ 学士+文化庁届出受理研修を受講し修了した者
・ 日本語教育能力検定試験に合格した者
・ 旧基準を満たし,告示校の教員の職にある者
詳細は「すぐわかる 日本語教師の国家資格化について」の記事をご覧ください。
会議のメンバーとスケジュール
会議の委員には、大学・日本語学校などから日本語教育関係者を中心に11名が名前を連ね、座長には西原鈴子氏(NPO法人日本語教育研究所理事長)、副座長には伊東祐郎氏(国際教養大学日本語教育実践領域代表)が就きました。
会議スケジュールは当日を入れて全3回の予定で、教育団体へのヒアリングを併行して行いながら、8月中に方針がまとまった課題についてとりまとめを行うという、かなり早いスピードで審議が進みます。これは、秋以降に法案作成に向けた準備を進めるためで、公認日本語教師の資格制度設計に向けた動きは具体的に進みそうです。
3回の会議で検討すべき事項は、指定試験実施機関及び指定登録機関の要件について、試験の内容・方法等制度設計について、免除規定について、更新講習の内容等について、教育実習の内容等について、受験料・登録料等の設定についてなど、盛りだくさんです。
会議は事前に申し込めばオンラインで傍聴できますが、会議開催の日程が告知されてから申し込み締め切りまでの時間が非常に短いので、傍聴を希望される方は、随時、以下の文化庁のホームページの「新着情報」をチェックされることをお勧めします。
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