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6大学14人の留学生が熱く語った「日本での経験」

日本で学ぶ諸外国からの留学生たち。異文化の中で様々な経験を重ねる中で、どのように考え、学んでいるのでしょうか。そうした日頃の学びの成果を発揮し、大学の枠を超えた国際的な文化交流を図ることを目的として、2019年12月8日(日)、上智大学キャンパスにて、第1回 『ザビエル杯日本語スピーチコンテスト』が開催されました。6カ国14人の留学生が参加し、ユニークな体験エピソードや自国と比較した文化的考察を盛り込むなど、それぞれ個性豊かなスピーチを行い、会場からは惜しみない拍手が贈られました。(編集部)

大学の枠を超えた留学生同士の国際交流の場として開催

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第1回 『ザビエル杯日本語スピーチコンテスト』にエントリーしたのは、会場となった上智大学をはじめ、青山学院大、聖心女子大、獨協大、立教大で学ぶ6カ国(中国・韓国・インド・シンガポール・ベトナム・オーストラリア)出身の留学生14人。さらに各大学の教職員や在校生・卒業生、そしてゲスト審査員にラグビー元日本代表の大野均さんを迎え、賑やかな雰囲気の中で開催されました。

開会の挨拶には、上智大学ソフィア会*会長の戸川宏一氏が登壇し、2012年から上智大学ソフィア会*の主催のもと、留学生の日本語スピーチコンテストを行なってきたことを紹介。「すばらしい内容が多く、より多くの方と共有したいと考えるようになりました。そこで、大学や国籍の枠を超えた国際交流の場として拡大することを目的に、参加者を『国内大学に在籍する外国人留学生』とし、新たに“ザビエル杯”と冠して開催することになりました」と、本スピーチコンテストの目的について語りました。

交流が主目的とは言え、一応コンテツとの体をとり、各大学の教官などが審査員として参加。「日本で経験した最も印象的なこと」をテーマに、発音やアクセントなど「日本語としての正しさ」に加え、メッセージが的確に伝わったかどうかという「内容」、そして、声の大きさやメリハリなど「プレゼンテーション力」の3項目に基づいて採点を行い、合計得点で競い合いました。

*上智大学在学生(準会員)、および上智大学・聖母大学卒業生(正会員)の同窓会組織

日本での経験を基にした異文化への理解や考察を披露

一番めに登壇したのは、獨協大学のチョウ セイさん(中国)。さらに四字熟語から日本語の面白さを発見したという上智大学のクー シケンさん(シンガポール)、日本への留学で多文化共生を体験したという獨協大学のグエンゴクリンさん(ベトナム)が続きました。

そして、聖心女子大学のリュウ コウケイさん(中国)は転んだ子どもへの対応から「日中における教育方針の違い」について考察を行い、立教大学のシェ シンさん(中国)は、在留登録書を紛失して戻ってきたエピソードを紹介し、笑いを誘いました。

また、田舎旅行を通じて、地場の文化や名産品、伝統的価値観の重要性を訴えた上智大学のリュ・グェン・ガン・ハーさん(ベトナム)、日本の割り勘文化を起点にその遠因まで歴史や民族性にまで遡って考察したシ・エンエンさん(中国)、日本語の曖昧表現に戸惑った経験から、和を重んじる文化の功罪を分析した聖心女子大学のチョ ブンさん(中国)など、ユニークな視点のものも多く見られました。

そのほとんどが自らの体験が起点となっており、異国での驚きや喜び、悩みなどが反映されたスピーチは、どれも強く心に残るものでした。とりわけ、日本では当たり前と思われるものに新しい見方や考え方を示唆するものとして、興味深く聞いた人も多いようです。

審査はかなり難航しましたが、日本語力とメッセージ力の高さが評価され、次の方々が表彰を受けました。

優勝:リュウ ソウケイさん(青山学院大学・中国)

北海道地震を経験し、勤務先である空港でのエピソードをリアリティをもって紹介しました。

2位:オム ユンベさん(上智大学・韓国)

日韓関係のあり方をテーマに、互いに関心を持ち合い草の根で交流することの大切さを訴えました。

3位:カクジスさん(青山学院大学・韓国)

元日が好きな理由として年賀状のすばらしさをあげ、日本のコミュニケーションについて語りました。

特別賞:クレシュ クマーさん(上智大学・インド)

来日直後の経験から、親切さ、堅実な仕事ぶりなど「日本人の好きなところ」について語りました。

チョウ セイさん(獨協大学・中国)

日々の小さな出来事から、日本と中国の子育てに関する文化的な違いや背景を考察しました。

大野賞:リー ステラさん(立教大学・オーストラリア)

韓国生まれ豪州育ち。異国の日本で「自分が自分であること」に気づいた経験を情熱的に語りました。

タンドール賞:ソン アンニさん(立教大学・中国)

アルバイトで出会った年配者との交流を通じて感じた「ささやかな幸せと人生のあり方」について語りました。

日本での学びを経て、母国の架け橋としても活躍を期待

表彰式が終わり、ゲスト審査員の大野さんが総評が述べられました。2019年に東京で行なわれたラグビーワールドカップにも触れ、「日本が初のベスト8入りという大躍進を遂げた起爆剤となったのは、多くの外国人選手の活躍があり、日本人選手も一丸となって協力し合えたからからこそ。ぜひとも、皆さんも母国と日本とをつなげる存在となってください。今日のスピーチコンテストがそのきっかけにとなれば幸いに思います」と語りました。

また、審査委員長の白石和子さん(元リトアニア大使)は、「体験談や自国との比較など、大変興味深く聞かせていただきました。たくさんの留学先から日本を選んでくれて心から感謝しています。全ての留学生を応援していきたいと思います」と語り、日本において外国人を含めたダイバーシティが進んでいることを紹介。「一心に、日本で学んだ経験は母国でも、そして日本でも、社会人になっても大きな財産となります」とエールを送りました。

会場は明るく清々しい雰囲気に満たされ、コンテスト後の懇親会においても、引き続き多くの交流が生まれました。

コンテストの様子は、上智大学のWebサイトでも写真とともに紹介されています。ぜひご覧ください。

www.sophiakai.gr.jp

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