検索関連結果

全ての検索結果 (0)
速報:国際交流基金最新日本語教育機関調査~機関数、教師数、学習者数はいずれも増加

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、海外の各国・地域の日本語教育の現状について定期的に「海外日本語教育調査」を行い、発表しています。この度、その最新版(2018年度調査)がまとまりましたので、その結果を速報します。(新城宏治)

過去最多の142の国・地域で日本語教育を実施

  • 機関数:18,604機関 前回から+2,425機関
  • 教師数:77,128人 前回から+13,020人
  • 学習者数:3,846,773人 前回から+191,749人

2018年度の調査で日本語教育を実施していることが確認できたのは142の国・地域であり、前回の2015年度の調査から5カ国の増加となりました。機関数、教師数は過去最高でした。また学習者は前回の調査で減少しましたが、今回は増加に転じました。

学習者数の上位10カ国は以下の通りです。

1位 中国:1,004,625人 前回から+51,342人
2位 インドネシア:706,603人 前回から△38,522人
3位 韓国:531,511人 前回から△24,726人
4位 オーストラリア:405,175人 前回から+47,827人
5位 タイ:184,962人 前回から+11,145人
6位 ベトナム:174,461人 前回から+109,598人
7位 台湾:170,159人 前回から△49,886人
8位 米国:166,565人 前回から△4,433人
9位 フィリピン:51,892人 前回から+1,854人
10位 マレーシア:39,247人 前回から+6,023人

学校以外で日本語を学んでいる人もたくさんいる

なお、本調査で対象となっているのは、語学教育として日本語を教えている学校やその他の機関であり、テレビ・ラジオ・書籍・雑誌・インターネットなどで日本語を独習している学習者は総数には含まれていません。この点から考えると、実際に日本語を学習している人の数は本調査での学習者総数を大幅に上回っていると推定されます。

これは日本人の英語学習者を考えると分かりやすいと思います。日本人の特に成人の英語学習者の中で英会話スクールに通っている人は全体のごく一部で、多くはテレビ・ラジオ・書籍・雑誌・インターネットなどを使って英語を学んでいます。全国各地に英会話スクールがある日本ですらそうなのですから、ましてや日本語学校が近くにない地域に住んでいる人も多い海外では、機関以外で学んでいる人が日本以上に多いと思われます。

地域別では東アジアと東南アジアに集中

全世界における学習者の総数を地域別に比較すると、東アジアが占める割合が圧倒的に多く、次いで東南アジアとなっています。学習者数の実に76.8%が東アジアと東南アジアに集中しています。

機関数の上位を国別に見てみると、機関数の多いベスト3は、韓国(2,998機関)、インドネシア(2,842機関)、中国(2,435機関)となっています。教育段階別で機関数が最も多いのは中等教育の8,720機関でした。海外の日本語教育の4割以上は中学校や高等学校で行われているということになりますが、今回の調査では初等教育や学校教育以外の学習者が増えていることが分かります。

学習者数の多いベスト3は、中国(1,004,625人)、インドネシア(706,603人)、韓国(531,511人)となっています。学習者数は104の国・地域で増加した一方、41の国・地域で減少しました。

学習者数の増減にはさまざまな国ごとの背景がありますが、影響が大きいものとしては、日系企業の進出(ベトナムやミャンマーなど)、中等校教育のカリキュラム改定や受験科目での選択(インドネシアや中国など)、少子化による人口の減少(台湾、韓国など)、訪日観光客の増加などが考えられます。

関連記事


学習者数はコロナ前の水準へー「令和5年度 国内の日本語教育の概要」を読む

学習者数はコロナ前の水準へー「令和5年度 国内の日本語教育の概要」を読む
毎年恒例の「国内の日本語教育の概要」の令和5年度版が発表されました。今年からは、日本語教育の所轄の移管により、文化庁ではなく文部科学省のサイトにアップされています。日本国内の日本語教育の現状を確認しておきましょう

登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習

登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習
20241015日から、登録日本語教員の経過措置講習に係る経験者講習が始まります。経過措置の対象になる方はルートによっては修了が必須となる講習ですが、それ以外の方も受講は可能です。文部科学省から発表になった内容を、わかりやすくお伝えします。

日本語能力試験と国際交流基金日本語基礎テストの応募者・受験者が大幅増加

日本語能力試験と国際交流基金日本語基礎テストの応募者・受験者が大幅増加
 20248月、国際交流基金から20247月の日本語能力試験の実施概要が発表されました。それによれば、日本語能力試験の海外の応募者が7月の試験としては過去最多、国内の応募者も過去最多、さらに全体の応募者数は1回の試験としては過去最多になったようです。また、同じく国際交流基金の日本語基礎試験の受験者も昨年から大幅に増加しています。具体的な数値を見ながら、その背景を探ります。