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これからの日本語教師に求められる「実践力」とは

日本語教師になってみたい! でも、日本語を教える場所はどこに、どのぐらいあるの? そこではどんな能力が求められるの?誰もが気になるポイントだと思います。(新城 宏治)

ここでは「実践力」という切り口から日本語教師の質の向上に長年取り組んできた全養協の活動をご紹介しながら、これからの日本語教師にとって必要な能力を考えてみます。

日本語教師採用合同説明会から

2019年6月28日、東京・高田馬場で全養協主催の「日本語教師採用合同説明会」が行われました。説明会は毎年2回行われており、今回で10回目を迎えました。この合同説明会では、日本語教師の就職サポートの一環として、日本語教師を目指す人と教師を採用する日本語教育機関とをマッチングさせています。日本語教師になりたい参加者にとっては、採用担当者から直接学校の様子を聞くことができる貴重な場になっています。当日は14教育機関がブースを出展、200名を超える日本語教師志望者が参加しました。また独立行政法人国際交流基金による日本語パートナーズ派遣事業についての説明会も行われました。

この合同説明会を主催している全養協は、正確には「一般社団法人 全国日本語教師養成協議会」といいます。日本語教師養成講座および日本語教師の質的向上をはかることを目指して2001年に設立された団体です。

「現在、日本語教師を目指す方々の年齢層は10代~70代までと幅広く、またさまざまなバックグラウンドをお持ちです。一方、日本語学校側は確かに日本語教師不足の状況はありますが、学校によっては学生のビザが下りにくくなっているところもありますので、信頼できる学校を選ぶことが大切です」

吉岡正毅・全養協代表理事は、合同説明会を通して教師志望者と日本語学校が就職に関するさまざまな情報交換をしてほしいと考えています。そのような趣旨から、会場の一角には「よろず相談」のブースも設けられました。日本語教師を目指す人が何でも相談できるブースには、人が途絶えることがありませんでした。

全養協日本語教師検定

全養協が合同説明会と合わせて力を入れているのが、全養協発足間もなく始まり、次回で15回目を迎える「全養協日本語教師検定」です。この検定では、一貫して「日本語教師の実践力」を測ることを目的にしています。これから日本語教師を目指す人から現在日本語を教えている人まで、誰でも受験できる試験です。

前回(2019年2月17日実施)の試験は、仙台、東京、横浜、静岡、大阪、岡山、福岡、沖縄の8都市・10会場で行われました。公表結果によれば、受験者の半分は日本語教育未経験者である一方、日本語教育10年以上というベテランも受験していることが分かります。また、受験者の年代が20代~60代でほぼ同じような割合になっており、受験者の年齢層が年々上がっている日本語教育能力検定試験と一線を画しています。

試験はⅠⅡの2部構成になっており、Ⅰの形式はマークシート選択式で知識を問い、Ⅱは教室活動をビデオで視聴し教室活動等に関わる問題点を記述させることにより、実践的教授技術能力を問う主観テストになっているのが大きな特徴です。これは、単に知識の有無だけを測るのではなく、それを教育現場で実際にどのように応用できるかを問うもので、試験の目的である「日本語教師の実践力」を測る大切な部分です。

「2021年から始まる大学入学共通テストでも採点をどうするかが課題になっていますが、我々も試験開始当初から作問と採点基準には随分と悩んできました。教室活動全般から日本語教育活動に関するところを抽出し、議論し、一定の基準を設けて採点する。非常に手間のかかるところですが、この過程の中で我々運営側も成長してきました」
新山忠和・全養協事務局長は、実践力を測ることの大切さと、その質を維持することの難しさをこのように語りました。

全養協が目指すもの

「文化庁で『日本語教師の資格化』が議論されていますが、そこでは実際に教える力として「実習」が重視される方向です。これは、我々が長年取り組んできた「実践力」と重なります」

吉岡氏は、今後日本語教育が多様化していく中で日本語学校も進学予備教育だけではなく、さまざまな現場に対応していくことになると考えています。そこで求められるのは柔軟な現場対応力であり、実際に日本語を教えるための「実践力」になります。吉岡氏は全養協のさらなる公益化を目指しながら、「全養協日本語教師検定」が日本語教師にとって必須の試験としてより認知されるよう試験の質の向上に引き続き取り組んでいきたいと、抱負を語りました。

一般社団法人全国日本語教師養成協議会(全養協)のWebサイト

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