日本語教師の国家資格化に関する「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(以下、日本語教育機関認定法)が、2023年6月2日に公布されました。その後、関連する日本語教育小員会やそのワーキンググループにおいて、関連する準備が急ピッチで進められています。今後の予定を確認しておきましょう。
2023年の予定~日本語教育機関認定法に関連する省令案の取りまとめ
日本語教育機関認定法に関連して、現在、大きく3つのトピックが動いています。
①認定日本語教育機関
③日本語教員試験
この3つのトピックに関連して、日本語教育小員会やそのワーキンググループにおいて主に進められているのは、日本語教育機関認定法に関連する省令等案の検討です。
省令の中で、「認定日本語教育機関認定基準の方向性(案)」の概要としては、総則、教員及び職員の体制、施設及び設備、日本語教育課程、学習上及び生活上の支援体制などについて定められています。
また、「日本語教育機関認定法施行規則の方向性(案)」の概要としては、認定日本語教育機関、認定日本語教育機関の教員の資格として登録日本語教員、日本語教員試験、さらには指定機関、登録実践研修機関、登録日本語教員養成機関などについて定められています。
今後は、日本語教育小委員会で案が取りまとめられた後、今秋に広くパブリックコメントが募集される予定です。国民から出された意見を踏まえて、認定日本語教育機関や登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関に関する政省令案が取りまとめられます。
また12月10日には日本語教員試験の試行試験が行われる予定です。
2024年の予定~日本語教育機関の認定、日本語教員試験実施
2024年1月以降に認定日本語教育機関や登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関に関する政省令についての周知や説明会が、教育機関や養成機関に対して行われ、事前相談期間を経て日本語教育機関の申請開始は5月頃、実践研修機関・日本語教員養成機関の申請は夏頃から始まります。
各々、基準に基づいて審査され、秋には2025年春入学のための日本語教育機関の認定、実践研修機関・日本語教員養成機関の登録が始まります。
また、春頃には日本語教員試験の試験機関の指定、秋頃には第1回の本試験が行われる予定です。そして、いよいよ日本語教員の登録が開始されます。
2025年春学期からは、文科相の認定を受けた認定日本語教育機関で登録日本語教員が日本語を教える姿が見られることになりそうです。ただ、経過措置期間においては、登録日本語教員の資格がなくても認定日本語教育機関に教員として勤務できることになっています。
気になる移行期間の措置
現職の日本語教師の皆さんにとって気になるのは、移行期間の措置だと思います。現状、移行措置に関する規定(案)は以下のようになっています。
認定日本語教育機関で日本語教育を担当する教員の経過措置に関する規定(案)
次のいずれにかに該当する者は、5年の経過措置期間(令和11年3月31日までの期間)は、登録日本語教員の資格がない場合でも、認定日本語教育機関に教員として勤務できる。
①日本語教員養成の420単位時間以上の講座を修了し、かつ、学士、修士若しくは博士の学位(学士(専門職)・専門職学位・外国のこれに相当する学位を含む。)を有する者
②日本語教育に関する大学(外国の大学を含む。)の単位を26単位以上修得し、かつ、学士、修士若しくは博士の学位(学士(専門職)・専門職学位・外国のこれに相当する学位を含む。)を有する者
③公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)が実施する日本語教育能力検定試験に合格した者
④平成31年4月1日以後において、法務省告示機関、大学又は文部科学大臣が別に指定する日本語教育機関で日本語教育に1年以上従事した経験を有する者
「登録日本語教員の資格取得ルート(経過措置)」によれば、経過措置の対象としてスタートラインに立てる条件は以下のどちらかです。
・平成31年4月1日(法施行5年前)~令和11年3月31日(法施行5年後)の間に法務省告示機関、大学、認定日本語教育機関、文部科学大臣が指定する機関で日本語教員として1年以上勤務した者
・登録日本語教員養成機関と同等と認められる現行課程修了(必須50項目を実施していることが文科省において確認できたもの)
このどちらかを満たしていれば、その後は、講習を受けてその講習修了認定試験に合格するなどにより実践研修が免除され、登録日本語教員になる道が開けるようになっています。
「日本語教育能力検定試験に合格したけれど現場経験がない」という方は、まずは法務省告示機関等で1年以上の経験を積むことが登録日本語教員になるための近道であるように思います。
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