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コロナ禍での外国人介護人材獲得をめぐる動き

他の業界同様、介護業界もコロナ禍によりさまざまな変化が表れてきています。介護職を目指す外国人が来日できなくなったこと、その一方で介護施設ではますます人手不足が顕著になってきていること、そのため既に日本国内にいる外国人の在留資格を特定技能に切り替えて介護施設に就職してもらおうといった動きです。これからも日本国内で介護を必要とする人は、増えることはあっても決して減ることはないでしょう。外国人介護人材をめぐる動きをご紹介します。

来日できない外国人介護人材

2020年はコロナの影響で、海外と日本の人の行き来が大きく抑制されました。これは介護人材も同様です。介護はEPA(経済連携協定)によるインドネシア、フィリピン、ベトナムからの候補者の受け入れ、在留資格「介護」、在留資格「技能実習」、在留資格「特定技能」など、さまざまな受け入れルートがありますが、そのいずれもが入国停止により大きな影響を受けました。

そのため一部の介護施設では、既に日本国内にいる外国人に在留資格を「特定技能」に変更してもらって採用しようという動きが出てきました。コロナにより介護施設での人繰りはますます厳しくなっています。施設内では感染防止を徹底するために、限られたスタッフでこれまで以上の対応が必要になっており、非常に厳しい状況があります。

そういった中で、介護職そのものに対する見方も変化しているようです。これまで介護職は多くの人から感謝されるやりがいのある仕事である一方、「賃金が安い」「きつい」と言って敬遠されることも少なからずありました。しかしコロナによって、多くの倒産や失業が出ている業界から新たに介護職を目指す日本人が現れてきているようです。介護の専門学校にも、これまで以上に日本人が増えているといった声も聞きます。

いずれにしろ、介護の仕事は、コロナがあってもなくならない「安定した仕事」であることは間違いありません。また、日本人であれ外国人であれ、慢性的に介護人材が不足している状況もコロナ前から変わりありません。

介護人材はどのぐらい不足しているのか

厚生労働省が発表している「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計」(確定値)によれば、2025年度の介護人材の需要見込みは253万人、現状推移シナリオによる介護人材の供給見込みは215.2万人となっています。この差し引きが需要と供給のギャップになりますが、実に37万人以上の介護人材が不足すると試算されています。

需要、つまり介護を受けなければならない人の数というのは、人口推移から見てかなり確度の高い数値ではないかと思われます。そうなると供給、つまり介護人材の育成や確保強化していかなくてはなりません。ちなみに2000年度の介護保険制度施行以降、介護職員数は年々増加しており、2000年度から2017年度の17年間で140万人も増加しました。しかし、それでもなお介護を必要とする人の増加には追い付いていないのが現状です。

介護の知識を持った日本語教師の需要

JSP(Japanese for specific purpose)としての介護の日本語教育を考える場合、日本語教師にも介護に関する一定の知識や理解が求められます。介護施設で働く外国人人材が、正しい介護の知識を習得し、入居者や同僚の介護士と日本語でコミュニケーションが取れるように、あるいは時には介護福祉士の国家試験に合格できるようサポートするための内容は、一般的な留学生に対する日本語教育や日本語能力試験対策などとはまた別の知識も必要となるでしょう。

そのような、介護の日本語についての理解を深めるユニークな講座として、4年前から大原学園の東京・水道橋校では、「介護の日本語」教師養成コースが開講されています。年3回開催されているコースには現職の日本語教師や介護福祉士が通ってきます。

コースの修了生の進路は、介護で来日するルートがいろいろとあるように非常に多様です。EPAで来日した候補者に教えている人、介護施設や監理団体で教えている人、介護系の専門学校で教えている人など、教える場もいろいろとあります。また、修了生による横のネットワークも盛んで、定期的に修了生対象のオンラインセミナーを開催し、実際に教えている人に実践レポートをしてもらったりもしているそうです。今年は日本語教師に介護という専門性を加えて、自分の可能性を広げてみるのもいいかもしれませんね。

2021年2月7日(日)から始まるコースはこちら

https://www.o-hara.jp/course/nihongo_kyoshi/nih_feature_02

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