最近、セカンドキャリアとして日本語教師を考える人が増えています。実際のところはどうなのか、日本語教師の年齢に関するデータと日本語教師へのインタビューから探ります。(地球人K)
なぜ日本語教師を目指すのか
最近、日本語教師に関心を持ち始めた埼玉県在住のSさん。54歳。
「新宿にある教育関連会社に勤めて30年。そろそろ会社でのゴールも見えてきて、定年までまだ時間はあるものの、漠然と退職後のことを考える機会が増えました。今は妻と子供2人の4人暮らし。子供も以前ほど手が掛からなくなってきました。自分は今の会社を退職したら毎日、何をしたらいいんだろうかと思います。多少の蓄えはあるので、収入はそこそこあればいい。お金よりもむしろ、何かやりがいを感じながら毎日を生きられたらいいかな。まだまだ体も元気だし、何か社会のために役立つようなこと、これからでも始められるようなことがあれば、チャレンジしてみたいと思っています」
Sさんは長年、英会話学校に通って外国人の先生にお世話になったこともあり、また最近は海外から日本に来る外国人が増えているというニュースもよく聞くので、日本にいる外国人の役に立つことができないだろうかと調べている中で、日本語教師に興味を持ち始めたのだという。
50代以上の日本語教師は着実に増えている
日本国内の日本語教育については、文化庁が毎年11月に「国内の日本語教育の概要(以下、概要)」という報告書を出している。この報告書をもとに、現役の日本語教師の年齢分布を見てみよう。
2017年11月現在の日本語教師数は約4万人。概要によると、このうち50歳以上が約半数を占めていることがわかる。日本語教育は年齢の高い人たちも活躍している世界なのだ。
年代別の日本語教師数
次に日本語教育の能力を証明するために、日本語教師を目指す多くの人が受験する日本語教育能力検定試験の年代別受験者数を見てみよう。ちなみにこの試験はJEES(公益財団法人 日本国際教育支援協会)が主催している。
ここでも50代以上が4割を超え、年々、元気な中高年の受験者比率が増えていることがわかる。
日本語教育能力検定試験 受験者年代別比推移
ミドルエイジのよさを生かした教師を目指す
中高年の日本語教師からはこんな声が聞こえてくる。
「自分が教えた日本語を使って学習者が話をしてくれると、何とも言えない達成感があります」
「日本語だけでなく、日本人の考え方や日本社会の仕組みなどについても聞かれますが、そういうところは年の功(笑)で説明できる部分があるかもしれませんね」
「これまで企業で長年働いてきたので、ビジネス日本語については自信を持って教えられます」
「とにかく時間はたくさんあるので(笑)、授業準備は丁寧にやっています。準備している時間も楽しいですね」
「体力は落ちているのであまり無理はできませんが、その分、1回1回の授業を大切にしています」
「若い先生のほうが学生からは人気があったりもしますが、特に気にはしていません。教える中身が大切です」
「海外から来る学生はいろいろなことを相談してきますが、親身になって相談に乗っているうちに、学生が他人とは思えなくなってきました」
中高年であることのメリット・デメリットはいろいろとあるようだが、長所を生かした元気なミドルの日本語教師が、今日も日本中で活躍している。
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