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登録日本語教員や日本語教員試験に関するご質問にお答えします 第2回:勉強法について

 先日、編集部から「登録日本語教員や日本語教員試験に関する質問」を募集したところ、皆様から非常にたくさんのご質問が寄せられました。ここで皆様から寄せられたご質問について、これまで公表されている各種資料を基に、個人的な見解を可能な範囲でお答えしたいと思います。文化庁等には確認をしておりませんのでご注意ください。実際にはケースバイケースの可能性もあると思われますので、あくまで参考意見の一つとして聞いていただければと存じます。

日本語教員試験と日本語教育能力検定試験

今回いただいた質問の中には、勉強法や試験対策に関するものもたくさんありました。日本語教師向けの試験が2つあるので、何が違うのか、どちらを受験すればいいのか、悩まれている方も多いようです。

まずは、日本語教員試験と日本語教育能力検定試験の違いを確認しておきましょう。

Aさんからの質問「2つの試験は何が違う?」

Q:日本語教育能力検定試験未受験者です。新しく日本語教員試験が始まるようですが、そもそも日本語教員試験と日本語教育能力検定試験は何が違うのですか? 試験はいつですか?

A:日本語教員試験と日本語教育能力検定試験の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

【日本語教員試験】

・試験日:2024年1117日(日)

・出願期間:4月以降公表

・受験料:18,900

・ポイント:登録日本語教員になるために必須の国家試験

【日本語教育能力検定試験】

・試験日:2024年1027日(日)

・出願期間:2024年71日(月)~7月31日(水)

・受験料:17,000

・ポイント:日本語教師としての知識・能力を証明する民間試験

日本語教員試験は4月以降に実施要項が発表されることになっていますが、日本語教育能力検定試験は既に実施要項が発表されています。受験予定の方は、忘れずにチェックしてください。

https://www.jees.or.jp/jltct/ 

文部科学大臣認定の認定日本語教育機関で教えるためには登録日本語教員として登録する必要があり、登録するためには国家試験である日本語教員試験合格が必須になります。

Bさんからの質問「同時受験をしたほうがいい?」

Q:日本語教師養成講座を修了して、3年間の日本語教師としての経験があります。ただ、日本語教育能力検定試験になかなか合格できず苦戦しています。令和6年度は従来の日本語教育能力検定試験と、国家試験である日本語教員試験の両方を受けようと考えています。民間の試験は受けず、国家試験だけに絞ったほうがいいのでしょうか。それとも両方受験して両方合格を狙ったほうがいいのでしょうか。

A:2つの試験の試験範囲と試験構成を見てみましょう。

【日本語教員試験】

実施要項は発表されていませんので、202312月に実施された試行試験の内容を基にまとめます。あくまで試行試験ですので、本試験の試験構成などは変更になる可能性もあります。

・試験範囲:

「必須の教育内容」に含まれている、日本語教育を行う者として必要不可欠な知識及び技能などが網羅的に備わっていることを確認・評価する。

・試験構成:

試験①(基礎試験)

言語そのものや言語教育、世界や日本の社会と文化等、日本語教育を行うために必要となる3領域5区分15下位区分及び50項目の必須の教育内容に含まれる基礎的な知識及び技能を有するかどうかを測定する試験。基礎試験は100問(120分)。

試験②(応用試験)

出題範囲が複数の領域・区分にまたがる横断的な設問により、実際に日本語教育を行う際の現場対応や問題解決を行うことができる基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定する試験。応用試験は、音声による出題:50問(45分)、文章題:60問(120分)。

【日本語教育能力検定試験】

・試験範囲:

令和4年度の試験から、「必須の教育内容」に準じた新たな出題範囲を設定。

・試験構成:

試験Ⅰ:原則として、出題範囲の区分ごとの設問により、日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する。試験Ⅰは100問(90分)。

試験Ⅱ:試験Ⅰで求められる「基礎的な知識」および試験Ⅲで求められる「基礎的な問題解決能力」について、音声を媒体とした出題形式で測定する。試験Ⅱは40問(30分)。

試験Ⅲ:原則として出題範囲の区分横断的な設問により、熟練した日本語教員の有する現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する。試験Ⅲはマークシート80問と記述式1問(120分)。

比較してみると、出題範囲はいずれも「必須の教育内容」であり、試験構成も大変似ていることがわかります。3週間のインターバルを置いて1日がかりの試験を2つ受験するのは大変かもしれませんが、考えようによっては、ダブル受験は試験対策が効率的にできる方法とも言えそうです。

なお、「必須の教育内容」とは、「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改定版」(平成31年3月4日文化審議会国語分科会)で示された「50の主要項目」を指します。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo/kokugo_70/1414272.html

Cさんからの質問「日本語教員試験の対策は?」

Q:日本語教師をして13年目に入りました。養成講座卒で、現在日本語学校と、オンラインで教えています。年齢的にもこれから試験対策をするのは大変だと思います。日本語教員試験は現行の日本語教育能力検定試験と似通った部分もあるようですが、試験対策をどのようにしたらいいのかわからないのが不安です。何の教材で勉強をするのがよいのでしょうか。

A:ベテランの先生方の中には、新しく始まる試験の対策に不安を抱いていらっしゃる方が多いようです。ただ、前述したように、日本語教員試験の出題範囲は日本語教育能力検定試験と「必須の教育内容」という点で重なっており、試験構成も似ています。

そういう意味では、日本語教育能力検定試験の対策が、そのまま日本語教員試験の対策になると言ってもいいでしょう。日本語教員試験の対策教材は、まだ市販はされていないと思いますが、日本語教育能力検定試験の対策教材は、過去問を含めたくさん市販されていますので、まずはそれらの教材に目を通すのがいいと思います。

試験構成を比較すると、日本語教員試験の応用試験の音声による出題の問題数が、日本語教育能力検定試験の試験Ⅱよりも多く、試験時間も長くなっています。聴解試験対策がポイントの一つになるかもしれません。

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の魅力を世界に伝えたいと思っている。

※アルクでは、7月中に日本語教員試験の概要や対策法がわかる試験ガイドの発行を予定しています。順次、詳細をお伝えしていきますので、乞うご期待!

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