2016年に発売し好評を博した『日本語教師の7つ道具+(プラス) 教案の作り方編』が、シリーズの引っ越しを経て『今すぐ役立つ! 日本語授業 教案の作り方』(日本語教師ハンドブックシリーズ)としてリニューアルしました。担当編集者が感じたことや本書の特長についてお伝えしたいと思います。(編集部)
教案は必要?
日本語教師あるあるだと思いますが、同じ教科書を長く使っていると教案も何巡かして、そのうちに教案を見なくてもそれなりに授業ができるようになります。また、PCやタブレット端末などを学習に利用することも多くなり、実際、最近は授業がパワーポイントになったので教案は作っていない、という先生もいました。授業の流れがわかっていれば、教案は別に作らなくてもいいのでしょうか。
『教案の作り方編』発売から8年間、コロナ禍を挟んで日本語教育にも変化はありました。今回の改訂にあたって内容を修正しなければならないところはないかと見直しましたが、デバイスや授業の方法が変わっても、教案の重要性は変わらないどころかむしろ増していることを実感しました。教案はよい授業を行うためにとても大事なものなのです。
教案作成のメリット
教案は、スムーズな授業のための道しるべになるばかりでなく、授業が終わったあとの振り返りと改善にも役立ちます。
授業の目標や活動の順序、練習内容などを考えて教案を作り、実際に教室で実践し、うまくいかなかったところはどこがいけなかったのか、何が足りなかったのかを反省して次の授業で活かす……この繰り返しによって授業の質が上がり、よい授業ができれば教師自身の安心感も増して自信につながります。
本書に教案を提供してくださったベテランの先生も、新しいテキストを教えるときは教案を作るそうですし、いつものテキストの教案は頭の中にあるので、すぐに書き起こすこともできるそうです。教案作成のプロセスや目的をしっかり理解していれば、テキストやデバイス、教える学生が変わっても対応できる教師になれる、というのが著者の先生方の主張でもあります。
新米日本語教師にもベテラン日本語教師にも
本書では、第1章でなぜ教案を作るのか、教案にはどんな要素が必要なのか、どんな手順で書けばいいのかという教案に関する疑問や教案作成のプロセスを詳しく解説しています。第2章では、「総合教科書の教案例」「読解授業の教案例」「プライベートレッスンの教案例」など、現役日本語教師による教案を22例掲載しています。実際の教案を見せるというコンセプトなので説明は最小限にしていますが、別冊(教案のもとになる教材)と一緒に見ていただくとわかりやすいでしょう。今回「会話授業の教案例」と「オンライン授業の教案例」を加え、さらに多様な教え方を紹介しています。他の教師の視点を知ることは新鮮な経験ですし、自分の授業の参考になると思います。
新人の先生の「教案を作成しなければならないけど、書き方がわからない」「自分の教案で大丈夫なのか不安」といった声にもお答えできますし、「新人さんの教案をチェックすることになったけれど、注意ポイントはどこだろう?」とか「あまりわかっていないようだけど、何かすすめられる参考書があれば……」というベテランの先生の要望にもピッタリの1冊です。 明日の授業をよりよくするために、ぜひ本書を手に取ってみてください。
※本書は2016年発行『日本語教師の7つ道具+ 教案の作り方編』を加筆・修正したものです。
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