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ロジトレは授業のスパイス! 【第1回】いつもの授業にロジトレを加えてみませんか

『考える・理解する・伝える力が身につく 日本語ロジカルトレーニング 初級』『同中級』(略して「ロジトレ」)が日本語の授業で使われる機会が増えているそうです。それと共に、ロジトレについて関心を持ってくださる日本語教師の方も増えてきているようです。でも、私の身の回りの日本語教師の方に聞いてみると「興味はあるけど、どう使ったらいいのかわからない」という意見を直接的・間接的に聞きます。そういう方の声にお応えするために、今回は「1冊を、最初から最後まで通してやらなくても大丈夫」という視点に立って、2回に分けてロジトレの上手な使い方についてお伝えしたいと思います。(執筆 西隈俊哉/執筆協力 加須屋希)

「つまみ食い」大歓迎

「最初から最後まで通してやらなくても大丈夫」という言葉を聞くと、不思議に思うかもしれません。市販の日本語教科書というのは始めから終わりまで順番に進めていくというものだという考え方が一般的だと思います。でもロジトレはまるまる一冊を使っていただかなくてもいいような作りになっています。手に取って色んなページを見てみて、「ああ、これ授業でやってみたい」と思ったところから使っていただいてもかまわないのです。つまり「つまみ食い」大歓迎なのです。

では、授業のどのタイミングで、ロジトレの何を実施するとよいでしょうか? そこで大事なのが、「日常の授業の組み立てを思い起こす」ことです。例えば、語彙や表現を説明したり確認したり、復習したりするタイミングはどこにあるでしょうか? ご自身の教案を見てみましょう。

語彙の説明といえば、語の意味を学習者に聞いてみたり、似ている意味を持つ語を聞いてみたり、同じ種類に属する語を聞いてみたりなどするかもしれません。ご自身の教案では、そのように進めると書いてありますか? もしそうなら、ロジトレを開いて使ってみてください。今あるアイデアにロジトレを取り入れることで、更に効果的な授業ができると思います。

語彙学習にロジトレを!

先ほど「同じ種類に属する語を聞いてみたり」と書きましたが、例えば色を表す言葉が該当すると思います。授業のときに「ほかにどんな色がありますか?」と聞くのも方法の1つですが、ここで、ロジトレを使った例をご紹介しましょう。

ロジトレの初級の8ページに「リストアップ(できるだけ書いてみよう)」という、テーマに合わせて思いつくものを10個書いてみる、というものがあります。8ページの例に上がっているのは、知っている色について10個書き出してみようというものです。

ちなみに、手元にある初級の教科書2種を調べてみると、色を習う課は以下の通りになっています。

『みんなの日本語 初級 第2版 本冊』(スリーエーネットワーク)

‐赤:34(赤い:8)

‐青:34(青い:8)

‐白:34(白い:8)

‐黒:34(黒い:8)

‐黄色:34

‐茶色:34

『できる日本語 初級 本冊』(アルク)

白い:8-2

黒い:8-2

茶色い:8-2

赤い:13-2

青い:13-2

黄色い:13-2

既習・未習について考慮する場合はどの課で実施するかについて配慮する必要がありますが、既習・未習について考えなくてよい場合は、学生が思いつくものをどんどん挙げてもらってもいいと思います。学習者は意外なところで新しい単語を覚えている可能性もあるので、学生にとっては「こういう単語を知っている」というアピールの場にもなるでしょうし、教師にとっては「この学生はこんな単語を知っているんだ」という気付きの場にもなるでしょう。

なお、10個まで思い浮かばなかったら10個以下でもかまいませんし、10個以上になった場合は枠外に書いてもらってもかまいません。

このように、語彙の説明の時間にリストアップを取り入れることで、いつもと違う語彙の授業にすることが可能です。

リストアップは、ウォーミングアップや隙間時間でも使えます。「食べもの」「家にあるもの」など、何かテーマを決めて、そのテーマに沿ったものを書き出してもらうとよいでしょう。私は「最近知った言葉」というのをテーマで5~10個ぐらい挙げてもらっています。もちろんそのためには学生に、新しい言葉を知ったら常にスマホなどにメモしておくよう伝えています。そうすることで、新しい言葉に対して自発的にメモすることを意識づけできるようにもなります。

リストアップ以外にも授業で使える練習が多数

リストアップだけでなく、ロジトレの初級の12ページにある「マンダラート」も語彙の説明の時間、ウォーミングアップ、隙間時間に使えます。マンダラートは「リストアップの数を8個に限定したもの」とも取れますが、8個に限定する必要はなく、半分の4個でも、それ以外の個数でもかまいません。

また、ロジトレの初級の12ページには「ならべかえ(言葉を連想してみよう)」というものがあります。これは、言葉の入れ替えです。例えば「りんご」の場合「ごりん」と並べ替えて、それから「りんご」に復元してもらうものです。これは、元の言葉を知らないと並べ替えがうまくいかないので、各課の復習・確認に使えると思います。

いかがだったでしょうか。普段の授業の中にちょっとだけロジトレを使った時間を入れてみることで、今までとは違った雰囲気の授業にすることも可能です。ロジトレは授業のスパイスにもなります。普段の味付けをちょっと変えたいときにぜひご利用ください。

次回は「目的・目標を達成するためのツールとしてのロジトレ」と題して、授業の目的・目標を念頭に置き、それを達成するためのツールの1つとしてロジトレを使うことについてお話したいと思います。

執筆:西隈俊哉

フリーランスで働く日本語教師。日本語学校、大学の留学生、技能実習生・特定技能の外国人に日本語を教えている。『考える・理解する・伝える力が身につく 日本語ロジカルトレーニング』(アルク)の初級・中級2冊を執筆。日本語教育に携わる人々を応援する団体「一般社団法人日本語フロンティア」の代表理事も務めている。趣味はエスニック料理を食べること。最近は南インド料理の沼から抜け出せずにいる。

加須屋さんと共に、YouTube「おきらく日本語教育」を配信中。https://www.youtube.com/channel/UCL0OInXN2heYv7GaTGjP3VA

執筆協力:加須屋希

国内の日本語学校で専任として働く日本語教師。大学院、大学、専門学校に進学する留学生を中心に日本語を教える。日本語学校でのオンライン授業導入や、「自分で考え、表現する学習者のための授業」を取り入れるなど、これからの日本語学校や日本語教師の在り方を模索し、実践している。
趣味はディズニーランド、シーを散歩すること。1か月に一回の割合で通う、自称「ディズニーランドマニア」である。

お知らせ

日本語フロンティアでは、通信講座の「外国人介護人材向け日本語教育講習」をスタートさせました。介護に携わる外国人の日本語教育について知っておきたいことをコンパクトにまとめた講座です。短時間で安価に学ぶことができます。

詳細はホームページ(https://sites.google.com/view/nihongo-frontier)をご覧ください。

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