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日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議4 ――登録日本語教員になるためのルート

文化庁で2022年5月31日から月1回程度のペースで開催されている「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」は、日本語教師の国家資格の法制化に向けた詳細を検討する有識者会議です。2020年~2021年に「日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」が取りまとめた「日本語教育の推進のための仕組みについて(報告)」をベースとしながら、日本語教員の国家資格などについて具体的な検討を進めています。

日本語教師の国家資格に関する議論

日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議(以下、本会議)は、2022年9月27日(火)に第4回会議がオンラインで行われました。「有識者会議における検討の方向性に関する事項(たたき台案)」=全体プログラムの中で、今回は主に黄色下線部分について議論されました。

1.日本語教師の質の維持向上に関する仕組みの創設について

(1)制度設計の背景・経緯

(2)日本語教師の質の維持向上を図るための仕組み全体の方向性

2.日本語教育機関の認定制度に関すること

(1)認定の基準

(2)認定の手続き

(3)認定を受けた日本語教育機関に関する情報の公表(定期報告を含む)

(4)認定を受けた日本語教育機関の評価(自己評価、第三者評価等)

(5)認定基準に関する経過措置

3.日本語教師の国家資格に関すること

(1)筆記試験

(2)教育実習の実施機関

(3)指定日本語教師養成機関

(4)日本語教員の登録に関する経過措置

4.その他検討事項

なお、1.の(2)および2.については第3回会議で検討されました。また、3.(1)筆記試験については、次回の第5回会議で検討される予定です。

登録日本語教員の資格取得ルート

今回の会議で事務局から「登録日本語教員の資格取得ルート(イメージ)【たたき台】*1」という資料が提示されました。あくまで現時点での「たたき台」ではありますが、「経過措置を含め、登録日本語教員の資格取得ルートのイメージを整理したもの」として、登録日本語教員になるための8つのルートが分かりやすく示されています。これをもとに「どうしたら登録日本語教員になれるのか」の現時点での案を確認しておきましょう。

【現職日本語教師の場合】

1、「法務省告示機関など、質が担保された機関で教えている日本語教師」の場合は、「要件を満たす民間試験」の合格者は、経過措置期間は筆記試験①、筆記試験②が免除されるとなっています。また、経過措置期間は教育実習が免除されるルートも書かれています。この場合は、

・「質が担保された機関」は法務省告示機関だけなのか、どのぐらいの教育経験が必要なのか。

・「要件を満たす民間試験」の合格者とは日本語教育能力検定試験の合格者のことを指すのか、いつの年度からの合格者であれば有効なのか。

などが、今後具体的に決められていくものと思われます。

2、「法務省告示機関など、質が担保された機関で教えている日本語教師」ではあっても、「要件を満たす民間試験」には合格していないという教師の場合は、筆記試験①、筆記試験②を受験しなければならないとされています。但し、経過措置期間は教育実習が免除になるルートが示されています。ベテランの日本語教師の中にはこれまで「要件を満たす民間試験」を受験していない方もいると思われますが、そういった方々は覚悟を決めて試験を受けるしかないようです。

3、「法務省告示機関などの質が担保された機関ではないところで教えている日本語教師」の場合は、「要件を満たす民間試験」の合格者は、経過措置期間は筆記試験①、筆記試験②が免除されるとなっています。しかしながら、教育実習についての扱いは、まだ明確ではありません。

【これから日本語教師を目指す場合】

4、大学等の日本語教育に関する課程(26単位~)や専門学校等の養成研修(420単位時間~)などの、指定日本語教師養成機関の課程修了者は、筆記試験①が免除され、筆記試験②と教育実習(養成課程の一部として実施)を終了すれば登録日本語教員として登録できるとされています。

5、指定日本語教師養成機関と同等と認められる現行課程の修了者は、経過措置期間は筆記試験①が免除され、上記4と同じルートを辿ることになります。このルートは、過去に日本語教師養成課程を修了した人向けの措置かと思われますが、注意しなければならないのは、その課程が「必須50項目*2を既に実施している機関等」となっていることです。このルートに該当する方は、自分が受けた養成課程が必須50項目をどの程度網羅しているか確認したほうがいいでしょう。

6、さらに、指定日本語教師養成機関の課程は修了せずに、筆記試験①、筆記試験②に合格し、指定日本語教師養成機関の教育実習だけを受けて登録日本語教員になるというルートも可能性としては残される可能性があります。

繰り返しになりますが、これはあくまで現時点での「たたき台」であり、今後変更される可能性があります。登録日本語教員を目指す方は、今後の議論を注視しながら、自分がどのルートに当てはまるのかをイメージしておきましょう。

「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」を傍聴しよう

「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」は、事前に申し込めばオンラインでの傍聴が可能です。傍聴に関するお知らせは、文化庁のホームページの「新着情報」に、会議実施日の数日前から掲載されます。募集期間が短いので、関心がある人は文化庁のホームページを小まめにチェックするようにしてください。

*1:登録日本語教員の資格取得ルート(イメージ)【たたき台】」は、以下の「資料2:質の維持向上に係る仕組みの方向性(養成課程、実習)」をご覧ください。https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/93764802.html

*2:必須50項目は以下の記事をご参照ください。

https://nj.alc-nihongo.jp/entry/20210401-kentei-youkou

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