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忙しい人のための日本語教育能力検定試験対策法4-試験対策の締めは過去問題で

令和3年度の日本語教育能力検定試験は2021年10月24日に行われます。本番まで残すところ2カ余りとなりました。ここでは、毎日忙しくてなかなかまとまった勉強時間が取れないという方のために、忙しい人でもすぐできる試験対策に役立つ情報をご紹介します。(新城宏治)

まずは1年分の過去問を解いてみる

日本語教育能力検定試験の過去問題は、『日本語教育能力検定試験 試験問題』という書名で、毎年各年度分が株式会社凡人社より発売されています。昨年行われた令和2年度の問題も入手することが可能です。

日本語教育能力検定試験に限らず一般的に言えることですが、試験対策において過去問題を解くことは非常に大切なことです。なぜなら、過去問題とは過去に「実際に出題された問題」であり、難易度、出題傾向、問題数、ボリュームなどの点において、どんな書籍よりも実際の問題に近いからです。

一般的に過去問題は試験対策の最初と最後に解いてみるとよいと言われます。最初に解くのは、その時点での自分の力と合格するために必要な力の差を測るためであり、最後に解くのは、自分の知識に抜け漏れがないかをチェックするためです。

過去問題を解く際にまず大切なことは、本番と同じ時間内で(できれば休みの日など1日使って、本番と同じ時間割で)、実際のマークシートや記述式の解答用紙を解いてみることです。本番とできるだけ同じ環境で行うのがベストです。

問題を解いてマークシートで答えを選ぶ際には、明らかに正解が分かった問題と、答えがあやふやで勘で選んだような問題とは区別して、違いが分かるような印を付けておくといいでしょう。後で答え合わせや確認作業を行うわけですが、その際に、「勘で選んでたまたま正解だった問題」には気を付けなければなりません。そういう問題こそが、自分の知識が抜け漏れしている(のにそれに気が付かない)可能性があります。

問題を解き終わったら必ず振り返りを行う

解き終わったら答え合わせをします。そうすると、大体の点数(何割ぐらい取れているか)が分かりますが、今のタイミングでは点数だけではなく、中身(なぜその答えが正解なのか? なぜ自分の選んだ答えが不正解なのか?)に注目したいところです。点数がたとえ合格点でも本番まで油断はできませんし、悪いからと言って落ち込む必要はありません。

『日本語教育能力検定試験 試験問題』には解答や記述式問題の解答例は付いていますが、解説は付いていません。そのため、正解・不正解の理由が分かりません。そんな時に役立つのが、ネット上にある解説サイトや解説動画です。検索するとさまざまなものが出てきますが、中でも「毎日のんびり日本語教師」というサイトの「日本語教育能力検定試験 解説」のページは大変分かりやすくまとまっています。

https://nihongonosensei.net/?page_id=8874#link2020

解説を読んでいくと、「〇〇ってどういう意味だっけ?」「〇〇と×の違いは何だっけ?」のように、問題に関連して確認したいことがどんどん出てくるはずです。そうしたら「NAFL日本語教師養成プログラム」などのテキストで、しっかりと知識を確認するようにしましょう。そして、そこで抜け漏れがあったら、きちんと確認しておくようにしましょう。「日本語教育能力検定試験合格パック」で勉強されている方は、解説セミナー動画を何度も見直してください。

苦手分野は重点的に何年分か解いてみる

もし、自分の苦手分野があれば、その分野だけでも『日本語教育能力検定試験 試験問題』を複数年分入手して、解いてみることをお勧めします。何年分か解くことで、特に(苦手としている人が多い)聴解試験や記述式問題などは、おおよその傾向がつかめるはずです。また、各年度とも1回解いて終わりではなく、何日か置いて何度か解いてみることをお勧めします。そうすると知識がより確実なものになります。

過去10年分ぐらいの過去問を見てみると、実は同じような問題が何度も出題されていることが分かります。これは日本語教育能力検定試験の出題範囲が決まっており、特に基礎項目が優先的に出題されることになっていますので、当然のことでもあります。答えが同じ問題が出題される場合もありますし、ある年度の正解ではない選択肢が翌年度の試験の問題文や正解として出題されることもあります。特に試験に出やすい重要な部分を繰り返し確認するという意味でも、過去問題を使った対策は理にかなっているのです。

一つだけ注意が必要なのは、各年度とも毎回、とても難しい問題が出題されたり、選択肢の中にあまり見かけない専門用語を見かけたりすることがあります。日本語教育能力検定試験は満点を目指す試験ではなく、あくまで合格点を目指す試験です。難問にこだわりすぎるのは、特に忙しい方とっては落とし穴になります。これは「よくできる方」が特にはまりやすいところでもありますので注意が必要です。難しすぎる問題や特殊な用語にはこだわり過ぎないように、基本的なの問題を着実に正解できるようにしておくことが大切です。

令和3年度日本語教育能力検定試験 実施要項

【出願期間】令和3年7月5日(月)から8月2日(月)まで(当日消印有効

【試験日】令和3年10月24日(日)9:00~16:40

【受験料】14,500円(税込)

【試験地】北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州

都合により変更する場合があります。

※試験地区内での都道府県は選択できません。

【合否結果通知の発表】令和3年12月24日(金)(予定)

詳細:https://www.nisshinkyo.org/news/pdf/F-2021-01-2.pdf

執筆:新城宏治

株式会社エンガワ代表取締役。日本語教育に関する情報発信、日本語教材やコンテンツの開発・編集制作などを通して、日本語を含めた日本の良さを世界に伝えたいと思っている。

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