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急増している在留資格「特定技能」の外国人

2019年4月にスタートした在留資格「特定技能」。開始当初、人材不足が深刻な14業種を対象に、5年間で34.5万人の新たな外国人を受け入れる新しい制度として注目されましたが、当初はその数がなかなか伸びませんでした。しかし、ここに来て、特定技能外国人の数が急増してきています。ここでは2021年5月末に法務省出入国在留管理庁から発表されたデータをもとに、2021年3月現在の状況や直近1年間の推移を見ていきます。法務省出入国在留管理庁は3カ月ごとに、特定技能関連の数値を発表しています。

在留数は1年間で5.6倍に増加

まずは特定技能在留外国人の直近1年間の推移を見てみましょう。以下のようになっています。

3,987人(2020.3)→5,950人(2020.6)→8,769人(2020.9)→15,663人(2020.12)→22,567人(2021.3)

(2020.3)=2020年3月

特定技能在留外国人の数は、この1年間で5.6倍と大きく増加していることがわかります。中でも2020年9月からの半年間の伸びが顕著です。業種別では、全ての分野で在留数が伸びていますが、中でも、飲食料品製造業、農業、建設、介護などの分野で大きく伸びています。

出身国はベトナムが6割以上

次に出身国別に見てみましょう。出身国別ではベトナムが圧倒的に多いことがわかります。直近の2021年3月における国籍別比率は大きい順に以下のようになっています。

ベトナム(62.7%)、中国(9.1%)、インドネシア(8.5%)、フィリピン(7.7%)、ミャンマー(4.3%)

実に特定技能在留外国人の6割以上がベトナムで、その比率は年々高まっています。直近1年間のベトナムの比率の推移は以下の通りです。14業種のほぼすべてにおいて、ベトナムの人数はトップの座にあります。

58.1%(2020.3)→58.8%(2020.6)→60.9%(2020.9)→60.1%(2020.12)→62.7%(2021.3)

産業分野別割合では建設・介護などの割合が増加

次に産業分野別に見てみましょう。分野別の人数の割合は以下の通りです。

飲食料品製造業(35.9%)、農業(14.9%)、建設(9.4%)、産業機械製造業(8.6%)、介護(7.6%)、素形材産業(7.4%)、外食業(5.1%)

1年前と比べて伸びが目立つ分野は建設や介護です。2020年3月の建設は産業分野別割合では5位でしたが、2021年3月には3位になっています。また介護は9位から5位にランクアップしています。一方で、外食業はその順位を下げており、新型コロナの影響による外食産業の苦境の一端が垣間見えます。

また、特定の分野と特定の国に強い結び付きが見られるケースがあります。例えば、インドネシアは漁業分野、カンボジアは農業分野、ミャンマーは飲食料品製造業分野、フィリピンは建設、造船・船用工業分野や自動車整備分野、タイは素形材産業分野などで大きなシェアを占めています。

特定技能在留外国人増加の背景

なぜ、ここ1年の間に、特に直近の半年で特定技能在留外国人がここまで増えているのでしょうか。考えられるのは新型コロナの影響です。

現在、日本に限らず世界的な新型コロナの影響により、国を越えた人流が極めて制限されています。海外から日本に来ることは大変難しい状況です。そのため、特定技能で外国人を受け入れている産業は人手不足に苦しんでします。

一方、日本国内にいる技能実習生は、技能実習期間終了後に在留資格を特定技能に切り替えて、滞日期間を伸ばして働くことを考えています。新型コロナの影響で帰国できなくなった技能実習生が特定技能へ流れるという構図です。

2021年3月のルート別の特定技能在留外国人数の割合は、実に全体の84.6%が技能実習ルート、14.8%が試験ルートでした。海外や日本国内で特定技能の業種別試験が行われていますが、在留資格「特定技能」の在留数の多くは、現在のところ技能実習から移行組になります。当初から特定技能は技能実習制度からの連続性を意識して設計されていましたが、新型コロナの影響で、その動きが加速しているように思います。また、今後もさらに加速する可能性は十分にあり、日本語教師の皆さんには注視していただければと思います。

特定技能1号在留外国人数(法務省出入国在留管理庁)

http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

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