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急拡大しているオンライン日本語の需要

新型コロナの影響により、多くの授業・レッスンの形式が対面からオンラインに切り替わりました。これにより、日本語学校、大学、企業研修などでオンラインによる日本語の授業の需要が一気に高まりました。対面からオンラインへと教える場の比重を移している日本語教師もいます。今回はオンラインで日本語を教えてみることに興味がある方向けに、オンライン日本語の特色をまとめてみました。(編集部)

大きく伸びているオンライン日本語市場

オンライン日本語とは、SkypeやZoom、Google MeetやMicrosoft Teamsなどのツールを使って、インターネット経由で行われる日本語の授業・レッスンのことです。以前からオンライン日本語のサービス自体はありましたが、コロナ禍で学生が学校に集まれなくなったり、社員が出社できなくなったりしたことで、2020年に一気に広まりました。オンライン日本語を提供している企業から話を聞くと、コロナ前後で授業・レッスン数が2倍になっているというところもあり、その多くが大きく売上を伸ばしています。

検索サイトで「オンライン」「日本語」「ビジネス」などと入力して検索すると、数多くの企業が市場に参入していることが分かります。それらは、対象顧客とニーズ、求める日本語教師の条件、教育内容やコースの種類などによって違いがあり、さまざまなニーズに応えています。

法人で求められるニーズ

対象が企業などの法人の場合は、外国人社員やエグゼクティブ、外国人内定者向けの授業になります。事前の打ち合わせで、法人側からは「3カ月で周りの日本人社員とコミュニケーションできるようにしてほしい」「6カ月で日本語能力試験のN2ぐらいまでの力を付けさせてほしい」などといった具体的なリクエストが出され、それに応えるために数カ月単位の中長期的なカリキュラムが組まれます。そういった法人からのリクエストに答えられるだけの能力が日本語教師にも求められます。

法人向けのビジネス日本語を中心に展開している日本語オンラインスクールの村元康太郎さんは登録する日本語教師について、「日本語教育能力検定試験合格や420時間の養成講座修了といった日本語教師の資格を持っていること、日本語教育の経験があること、企業で働いた経験があること」の3つを条件にし、ビジネス経験を日本語教師にも不可欠な条件として挙げます。

「日本語オンラインスクールの登録日本語教師の平均日本語教育歴は4~5年ですが、中には日本語教師歴がまだ2年というような人から10年以上というキャリアを持っている人もいます。決められた授業を行うだけなく、企業のニーズに応えてカリキュラムを組み立て・レッスンのアレンジができる人が望ましいです」と、日本語教師に一定期間以上の教育経験を求めます。企業で働いた経験がない日本語教師がこれから企業での経験を積むのは難しいかもしれませんが、逆に現在企業で働いていてこれから日本語教師を目指すという方にとってはチャンスかもしれません。企業経験は特に職種にこだわりはなく、会社の雰囲気やビジネスパーソンの気持ちなどが分かることが重要とのことです。

個人向けを中心に法人にもオンライン日本語サービスを提供しているJapaTalkでは、顧客のニーズに合わせて講師も2タイプに分けて登録できるようにしています。「文法などの説明ができる講師を本格派講師、会話レッスンを主に行う講師をカジュアル講師として登録してもらっています。もちろん両方に登録することも可能です」と、JapaTalkの井上仁之さんは、顧客のニーズと講師のニーズを柔軟に組み合わせて対応しています。そのため、必ずしも日本語教師に特定の資格を求めているわけではなく、日本語を教えるためのスキルや経験、コミュニケーション能力、熱意などから総合的に判断しているそうです。

グローバルラングは法人向けのオンライン日本語教育も行っていますが、もともとは代表の魚崎宏さんが20年以上前から全国の教育委員会から委託を受け、外国につながりをもつ児童・生徒に対する母語による日本語指導の実績を重ねてきました。そのため、法人向けの日本語講師には一般的な日本語教師の資格や経験などを求めますが、子ども向けの日本語講師には中級以上の外国語力(TOEIC850・英検準1級以上、HSK5級以上、TOPIK5級・ハングル検定2級以上など)や、国語の教科指導力などを求めることもあります。語学力以外に、法人向け・子ども向けの日本語講師に共通して求めることとしては、「基本的なオンライン授業用のツールが使いこなせること」で、「日本語講師は教えることに興味と探求心を持ち、学習者に応じた指導ができることが大切」と、魚崎さんは強調します。

オンラインで日本語を教えてみたいと思ったら

オンラインで日本語を教えてみたいと思ったらどうしたらいいのでしょうか。まずは講師として各サービスに登録するところから始まります。ウェブサイト上に講師登録フォームがあれば、そこから登録しましょう。そのようなものが見つからない場合は、問い合わせフォームやメールアドレスから「日本語講師として登録したいのだが、どうしたらいいか」と問い合わせてみましょう。

一口にオンライン日本語といっても、サービスを提供している企業によって、講師に求めるもの、サービスの特徴や講師登録仕組みなどが異なります。まずはあれこれと検索してみてホームページから内容を比較・検討し、自分に合ったところに登録するところから始めるといいと思います。

オンライン日本語のいいところは、自宅にいながらできること、そして自分のペースで比較的仕事を調整しやすいところです。現在、日本語学校などで非常勤で教えていらっしゃる方も、オンライン日本語をうまく活用して、ライフスタイルに合わせて教える時間数・時間帯などを調整されるといいのではないかと思います。

■今回の記事でご紹介したオンライン日本語スクール

・日本語オンラインスクール 

https://nihongo-jinzai.com/

・JapaTalk

https://www.japatalk.com/

・グローバルラング

https://g-lang.co.jp/

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