文化庁から、平成30年度「国語に関する世論調査」の結果が発表になりました。さまざまな慣用句等について、今の日本人がどのように理解し、使っているか、興味深い調査結果が出ています。(NJ編集部)
「国語に関する世論調査」とは?
文化庁が日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策の立案に資するとともに、国民の国語に関する興味・関心を喚起するものとして、平成7年度から毎年実施しているものです。毎年9~10月頃に発表される調査結果は、年々変化する日本語や言葉・コミュニケーションに対する日本人の考え方が反映されており、大変興味深いです。今回の調査は全国の16歳以上の男女約2000人から回答を得ました。
今回は、「国語や言葉への関心」、「表記等1-用語などー」、「表記等2-文体・構成ー」、「読書について」、「六つの表現の認知と使用、慣用句等の意味・使い方」の5章に分けて調査結果が出ています。
「知る人ぞ知る」は約半数が使用する一方、「行きつ戻りつ」を使うのは1割強
「六つの表現の認知と使用、慣用句等の意味・使い方」では、次の六つの言い方について、聞いたことがあるか、また、使ったことがあるかを尋ねています。
- 古き良き時代を楽しむ
- 議論が行きつ戻りつしている
- 招かれざる客
- 知る人ぞ知る秘境
- えも言われぬ美しさ
- 結果は言わずもがなである
結果は、49.5%の人が4.「知る人ぞ知る」を使うことがあると回答しましたが、2.「行きつ戻りつ」を使うことがある人は12.3%、5.「えも言われぬ」を使うことがある人は17.8%にとどまりました。
「憮然」「御の字」「砂をかむよう」を本来の意味とは違って理解している人が多数
次に、3つの慣用句等について「どちらの意味だと思うか」と尋ねています。
※太字が本来の意味。「両方」「別の意味」「分からない」の選択肢は省略
1.憮然(例文:憮然として立ち去った)
選択肢:失望してぼんやりしている様子/腹を立てている様子
2.御の字(例文:70点取れれば御の字だ)
選択肢:一応、納得できる/大いに有り難い
3.砂をかむよう(例文:砂をかむような思いがした)
選択肢:悔しくてたまらない様子/無味乾燥でつまらない様子
結果は、いずれも本来の意味とは違うとされる方が多く選択され、慣用句の意味理解も時代と共に変化していることが伺われました。
大切なことは天地神明に誓う? 天地天命に誓う?
次に、3つの慣用句等について「どちらの言い方を使うか」と尋ねています。
1.「自分の言うことに、うそ偽りがないことを固く約束するさま」
選択肢:天地天命に誓って/天地神明に誓って
2.「前言に反したことを、すぐに言ったり、行ったりするさま」
選択肢:舌の根の乾かぬうちに/舌の先の乾かぬうちに
3.「論理を組み立てて議論を展開すること」
選択肢:論陣を張る/論戦を張る
※太字が本来の意味。「両方」「どちらも使わない」「分からない」の選択肢は省略
結果は、本来の言い方とされていない1.「天地天命に誓って」3.「論戦を張る」を選んだ人が、本来の言い方とされている1.「天地神明に誓って」3.「論陣を張る」を選んだ人を大きく上回りました。既に、天地神明より天地天命のほうが市民権を得ているんですね……。
興味深い調査結果の全体は以下をご覧ください。
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1422163.html
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