日本語教師を目指す方が集う、日本語教師養成機関をご紹介。代表的な8校の概要に加え、これから日本語教師を目指す皆さんへのメッセージも6校から。(NJ編集部)
日本語教師になる方法はいくつかありますが、日本語教育や教師養成の学校(教育機関)で学ぶルートはその王道です。日本全国にいろいろな学校がありますが、ここでは、代表的な8校をご紹介しています。
また、各日本語教師養成機関には「こういう日本語教師を育てたい」「こんな日本語教師になってほしい」という教育哲学があります。6校からはそんなメッセージもお寄せいただいてますので「自分はどういう日本語教師になりたいのか」をイメージしてみてください。
アークアカデミー
アークアカデミーは30年超の歴史を持つ日本語教育の専門機関。約1,000名、50カ国以上の多国籍な留学生が毎日楽しく日本語を学んでいます。
「420時間総合コース」「420時間通信コース」の受講生は、日本語学校の授業に参加する機会などもあり、日本語学習者と様々な交流の機会を持ちながら、日本語教師に必要な知識と技術を身につけていきます。
https://yousei.arc-academy.net/
「思考力を鍛え抜き、国内外の教育現場で活躍してほしい」
養成講座を修了された方の中には国内で日本語を教えることを希望される方が多いのですが、最近は特に若い方の中に海外で教えることを希望される方も増えてきました。特にアークアカデミーでは2012年から外務省のEPA(経済連携協定)事業でベトナムでの訪日前の看護師・介護福祉士候補者日本語研修を受託しており、現在も第7陣候補者240人への研修を実施中です。(アークアカデミー研修事業部次長 前澤由紀子さん)
KEC日本語学院
KEC日本学院の特徴は、一般的な養成講座の実に5倍、計58回の実践演習、教育実習により即戦力を養成するそのカリキュラム。その結果、就職希望者の90%以上が国内外の日本語学校、機関の採用試験に合格し、日本語教師としてデビューしています。(2018年は、311名が内定を取得。)
資格取得のための勉強と同時に、即戦力としての実務スキルを身につけたい方は、同校の無料個別ガイダンスを訪ねてみるといいかもしれません。
「しなやかさと強さを兼ね備えた日本語教師になってほしい」
これまでの日本語教育は留学生の大学進学予備教育が中心だったと思います。しかし、新しく特定技能が始まり、今後は働くため、あるいは日本で生活するために日本語を学ぶという人が増えていくでしょう。日本語学習の目的や背景は多様化していきます。そんな時に重要なのは、どんな場面や状況にも臨機応変に対応できる柔軟性ではないかと思います。(KEC日本語学院 関大輔さん)
ヒューマンアカデミー
1985年設立のヒューマンアカデミーの中でも、幅広い世代に人気なのが「日本語教師養成講座」です。たとえ紙とペンのないところでも日本語を教えられる、「現場力」を重視したカリキュラムが好評で、年間1,500人以上の方が同校で日本語教師を目指しています。
日本語教育能力検定試験では、これまでに2,363名の合格者を輩出する実績(平成16~29年度実施試験累計)を誇り、5.7人に1人は同校の受講生。その修了生は世界52カ国で活躍しているそうです。
http://haa.athuman.com/academy/japanese/
「激変する日本語教育の中で自分の現在と未来を考えよう」
皆さんは日本語教師養成講座を修了したら、どのような場所、場面で、どのような方々に日本語を教えたいと考えていらっしゃるでしょうか。ただ漠然と「日本語を教えたい」ではなく、自分の将来像を明確にイメージしてみてください。そうすると、どんな力を身に付けなければならないか、日本語教育以外に必要な能力や資格などに発想が及ぶでしょう。(ヒューマンアカデミー株式会社 日本語教育事業部 エグゼクティブオフィサー 田中知信さん)
大原日本語学院
「資格の大原」でおなじみの大原学園グループも、日本語教師の養成に力を入れています。日本全国に5か所(東京・神奈川・大阪・金沢・福岡)の日本語教育機関を構えている点が大きな特徴。
日本語教師に必要な知識(理論編)と、具体的な教え方(実践編)とを総合的に習得。「少人数制の手厚いサポート」「留学生を相手にした教壇実習」など、工夫を施されたカリキュラムが魅力です。
https://www.o-hara.ac.jp/best/nihongo/
「企業の高いニーズに応えられる日本語教師になってほしい」
今後は、企業での日本語教育のニーズが増えてくると思います。ビジネス経験がある日本語教師にとってはその経験を生かせるチャンスです。その際に教育に対する企業の評価というのは大変シビアです。かけたコストに対してどれだけの成果があるのかが問われます。また、学習者は企業の「人材」として、いわゆる日本語能力試験などで測られる読み書き日本語能力だけではなく、会話力、ビジネスマナー、あるいは人間性や「頭の回転の速さ」のようなものまで評価されることもあります。(大原日本語学院 校長 吉岡久博さん)
千駄ヶ谷日本語教育研究所
日本語教育のリーディングスクールとして44年間の実績をもつのが、千駄ヶ谷日本語教育研究所。養成講座の授業は、日本語教師になった際に必要な理論知識と実習技能がともに身に付くように構成されています。
受講生の修了後を考えた指導を行なっており、教師陣の指導力は業界一との定評があります。真に実践力のある日本語教師を輩出することを目標に掲げる同校卒業生の就職率は、なんと、98%とのこと。
「実践力を養い、国内外からのニーズに応えてほしい」
これからの日本語教師に求められるのは、多様化する現場で必要とされる異文化適応力です。初めて日本語教育の世界に入った方は、外国人と日本語で話す、外国人に日本語を教えるということだけで身構えてしまうものですが、実際に海外の教育現場へ行ってみれば分かるように、そこでは日本では出合えないような考え方や価値観に日々出合います。そのような状況に柔軟に対応し、学習者とコミュニケーションを取りながら、ニーズを的確につかめる教師が求められます。(千駄ヶ谷日本語教育研究所 理事長 吉岡正毅さん)
早稲田大学大学院 日本語教育研究科
早稲田大学大学院には、日本語教育を専門に学べる「日本語教育研究科」があります。
日本語教育学を理論的・体系的に学ぶカリキュラムと、実践的活動とのバランスのとれた「理論と実践の統合」がその教育プログラムの特徴。正規生の他にも、科目等履修生、公開講座(通学型・オンデマンド型)、ワークショップなど、様々なスタイルでの学習機会を提供しています。
https://www.waseda.jp/fire/gsjal/
「日本語教育から未来の社会を創造しよう」
「学習者のニーズが重要」とはよく言われることですが、これは学習者の言いなりになって、学習者の希望を何でもかなえるという意味ではありません。私は日本語教師には学習者の表面的なニーズだけではなく、その背景・理由を探る能力が必要だと考えています。(早稲田大学大学院 日本語教育研究科研究科長 小林ミナさん)
ECC日本語外語学院 名古屋校
実践力に重点を置いたカリキュラムと少人数制によるキメ細やかなフォローが特徴なのが、ECC日本語学院の名古屋校。
420時間の6か月コース、420時間の1年コース、実践実習コース(3か月)、検定対策講座など、ニーズにあわせた幅広いコースを用意しています。
http://www.ecc-nihongo.com/jp/nagoya/
アルファ国際学院
アルファ国際学院は、1987年開校の日本語教師養成専門学校。これまで約3,700名の日本語教師を輩出しています。
国内外(東京・横浜・大阪・名古屋・博多・ロンドン・タイ・ベトナム・ネパール)全9校を運営。国内外問わずバラエティーに富んだ就職実績と、抜群の検定合格率を誇っています。
インターカルト日本語学校
インターカルト日本語教員養成研究所は、創立以来40年プロの日本語教師を養成し、今では多くの修了生が国内海外で活躍しています。日本語学校が併設されており、つねに60各国以上の外国人学生が在籍しています。外国人学生と同じ校舎で学べる国際色豊かな学校です。また海外にも提携校が多数あり、安心して働ける場があります。
https://www.incul.com/jp/yosei/
三幸日本語教師養成カレッジ
母体の学校法人三幸学園グループは1985年の創立以来、医療、介護、保育など様々な分野での教育と人材開発を行っています。日本語教育分野ではSANKO日本語学校東京、SANKO日本語学校ベトナムを設立。グループメリットを活かし、日本語学校はもちろん地域日本語教室や介護人材への日本語教育など多様な現場で活躍できる教師を目指します。
https://www.sanko-nihongo.com/
日本大学大学院文学研究科
修士課程「日本語教育コース」を2020年4月に開講予定です。コース修了後、日本語教師として働く前提となる履修証明書を発行します。本コースで修得した単位は、専攻によって大学院修了要件単位に含まれるように計画しており、それぞれの専門を修得しながら、日本語教育を学ぶことができます。
https://www.chs.nihon-u.ac.jp/japanese_education/
自分に合った学校をじっくり選ぼう
学習者は多様化しており、それに応じてさまざまなバックグラウンドを持った日本語教師が求められています。ぜひ、自分にいちばん合った日本語教師養成機関を選んでください。
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