【20%OFF】「NAFL対策セット」ラストセール開催中! 【20%OFF】「NAFL対策セット」ラストセール開催中!

検索関連結果

全ての検索結果 (0)
日本人の日本語力を測る―「日本語検定」を知り、活用しよう

日本語教師の皆さんは「日本語検定」をご存知でしょうか。日本語検定は、日本人(日本語母語話者)向けの日本語の総合的な能力を測る検定です。今回は「日本語検定」の事務局の方々に話を伺いました。事務局の方によると、検定結果から、日本人の日本語力は年々落ちていることが読み取れるそうです。日本語検定の内容とともに、日本語力低下の原因や、日本語力を上げるためにできること、日本語教師としてどのように日本語検定を活用できるか、などをお話しいただきました。

日本語を使うすべての人のために

――まずは、日本語検定について、どんな検定なのか教えていただけますか。

日本語の総合的な能力を測るための検定です。敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字の6領域と、長文やグラフ、イラストマップなどを使った総合問題で構成されています。

日本語を使うすべての方のための検定で、下は小学校に就学する前から上は100歳代の方までが受検されています。親子で一緒に受検される方もいます。個人受検と団体受検があるのですが、年に2回実施していて、7級から1級まで選んで受検することができます。

目安としては7級が小学校2年生レベル、4級が中学校卒業レベル、3級は高校卒業から社会人基礎レベル、2級は大学卒業から社会人中級レベル、1級は社会人上級レベルとなります。大学ではリメディアル教育・キャリア教育の一環として受検している例もあります。会社によっては2級認定で資格手当が出たり、3級認定を必須にしていたりするところもあります。

――先ほど2級の「パソコンで入力したときの変換ミスを探して正しい漢字を記入する」という問題をやってみたのですが、どの漢字が変換ミスかわかっても、正しい漢字をすぐ思い出して書くということができませんでした。

【2級 表記】

親や教師による過度の干渉は、子どもの健全な心の成長を疎外する要因となりうる。

検定の結果から、まさに漢字を書く力が全体的に低下していることがわかります。それから、語彙力も落ちています。推測なのですが、やはりスマートフォンの普及、SNSの普及が大きな要因ではないかと感じています。パソコンやスマホの予測変換に頼っていると、どうしても漢字を正しく書く力は落ちてしまいますし、新聞や本を読む機会が減ってSNSでのやりとりのような短い文しか書いたり読んだりしなくなると、多彩な語彙に触れる機会が失われていきます。例えば、「ヤバい」など、それだけでいろいろな意味を手っ取り早く伝えられる便利な言葉を多用しているせいで、細かいニュアンスを伝えるためのさまざまな言葉を使わなくなってきているのではないでしょうか。

16年前に検定を開始したとき、日本人の日本語力の低下が一因と考えられるさまざまな問題が見られるようになっていました。学校生活や社会生活を営む中で、その基盤となるのが日本語力だと考えられるのですが、語彙の知識や読解力が不足していることにより大学生が講義を理解できなかったり、表現力・理解力の低下によって人間関係や仕事上のトラブルが起きたり、学校での学力低下が問題になったりなどの状況が往々にして見られるようになっていたのです。16年たった現在、これらの状況は、残念ながら改善されるどころかますます顕著になってきています。日本語検定はこの状況に問題意識を持ち、日本人の日本語力全体を底上げすることを目指しています。

――パソコンやSNSの普及の影響は避けられないものではありますが、日本語力を底上げするためにどんな方法があるか、ご提案はありますか。

日ごろから言葉を意識して生活し、場に応じた言葉を選ぶ力などを付けることが大切だと思います。意識するきっかけ作りのためにも、日本語検定の受検をおすすめします。受検の結果からは先ほど挙げた6領域(敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字)ごとの正答率が出ますので、自分の苦手な領域を認識することができます。それから問題の解答・解説がネットで見られますので、それをぜひしっかり読んでほしいです。解答に解説がない検定が多い中、日本語検定は解説にとても力を入れています。不正解だった解答がどうして違ったのかをしっかり確認することで、日本語力を向上させていくことができると思います。

日本語教師は2級以上を!

――日本語教師も受検すると役立つのでは、と思うのですが。

はい、最適な検定試験だと思います。現に受けている方もいらっしゃいます。日本語を教えている方は日本語力が高い方も多いと思うのですが、ぜひ年に1度でもご自分の日本語力の「健康診断」をするといいのではないでしょうか。検定の問題内容のコンセプトは「今を、そしてこれからを生きる人のために」です。社会で使われる日本語は時代とともに変化していきますが、日本語検定では、今、必要とされる日本語力を十分に吟味して、それを測れるような問題を出題しています。受検することは、社会で必要とされる新しい知識・言葉に出合うチャンスになり、スキルアップにもつながると思います。

日本語を専門に教えている方には、少なくとも3級に、そしてぜひ2級以上には合格してほしいですね。

――「日本語力の健康診断」というのは日本語教師に向けて的を射た表現ですね!今日はどうもありがとうございました。

www.nihongokentei.jp

関連記事


令和6年度日本語教育能力検定試験と日本語教員試験

令和6年度日本語教育能力検定試験と日本語教員試験
令和6年度の日本語教育能力検定試験は、20241027日(日)に全国7地区・7会場で実施されました。受験された皆様、本当にお疲れ様でした。また、同じく令和6年度の日本語教員試験は20241117日(日)に全国8か所・11会場行われます。受験される皆様の健闘を、心からお祈りします。(新城宏治/㈱エンガワ)

ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(2)

ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(2)

日本語も日本文化もわからないまま、家庭の事情等で来日し、日本の学校に通う子どもたち。その学習にはさまざまな支援が必要です。子どもたちの気持ちに寄り添い、試行錯誤を続ける近藤美佳さんの記事、後編です。


登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習

登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習
20241015日から、登録日本語教員の経過措置講習に係る経験者講習が始まります。経過措置の対象になる方はルートによっては修了が必須となる講習ですが、それ以外の方も受講は可能です。文部科学省から発表になった内容を、わかりやすくお伝えします。

ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(1)

ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(1)
国内の小中学校では外国籍、外国にルーツを持つ子どもたちが増え続けています。子どもたちへの日本語教育の重要性がようやく注目され、母語・母文化継承についても少しずつ認識されるようになってきました。

日本語能力試験と国際交流基金日本語基礎テストの応募者・受験者が大幅増加

日本語能力試験と国際交流基金日本語基礎テストの応募者・受験者が大幅増加
 20248月、国際交流基金から20247月の日本語能力試験の実施概要が発表されました。それによれば、日本語能力試験の海外の応募者が7月の試験としては過去最多、国内の応募者も過去最多、さらに全体の応募者数は1回の試験としては過去最多になったようです。また、同じく国際交流基金の日本語基礎試験の受験者も昨年から大幅に増加しています。具体的な数値を見ながら、その背景を探ります。