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「話す・書くにつながる! 日本語読解」シリーズ 著者インタビュー

発行から7年経った「話す・書くにつながる! 日本語読解」シリーズ。初中級・中級・中上級の3冊揃ったこのシリーズは、読むだけにとどまらず、自分のこととして考え、書いたり話したりするところまで行うのが特徴です。7年の間、さまざまな日本語教育機関に使っていただいていますが、改めて本シリーズの魅力を紐解くために、著者の方々にインタビューを行いました。

長い時間をかけて取り組んだ教材開発

――改めて、どのような経緯でこのシリーズが誕生したか聞かせてもらえますか。

元々は勤務先の勉強会があったのですが、そこだけでは話し足りなくてお互いの問題意識を持ち寄って別の勉強会を始めました。はじめはお互いの授業の振り返りなどを行っていて。毎回、次の会のための宿題があったりして仕事しながら参加するので結構大変な勉強会だったのですが、教材研究もやっていました。

その中で共通の問題意識として出てきたのは、日本留学試験の読解問題に対応する力を付けられる読解教材がない、「読んで終わり」でその先につながらない題材の教材が多く、20歳前後の学生にとって興味が起こる読み物が少ない、ということでした。読解なのに、内容が語彙や文法の知識を問うことに偏っているということにも疑問を持っていました。

それで「読解ってそもそも何?」ということを探るために何年もかけて学会の発表を聞いたり、研究会に参加したり論文を読んだりということを続けました。授業で使っているテキストや発行されているテキストの分析もしていました。日本留学試験や日本語能力試験の読解問題の分析もしていました。

2014年ぐらいから、「無理かもしれないけど、教材を作ってみる?」ということになりまして。国際交流基金の「日本語教授法シリーズ」(ひつじ書房)などを参考に作り始めました。

学生が「自分のこと」に結び付け、考えを広げられる読みのために

――取り上げる読み物を選ぶ、という過程も大変だったのではと思うのですが、どのように進めたのでしょうか。

探し始めた当初は選ぶ基準があいまいだったので、自分が面白い、学生が面白いと感じそうだというものは手当たり次第なんでも候補に挙げていました。そのうちに、

「本質的で古びないもの」

「現代の問題で将来的に続くような問題を内包しているもの」

「テーマの核をつかむ力、共感する力や、共感できないところを意識してその理由を考える力を養えるもの」

「読解を通して『見つめる→広がる→つながる』ことができる内容のもの」

を扱う教材にしたいという認識が固まってきて、選ぶ感覚もつかめていきました。

そうなってくると、メンバー同士、同じ本から選んでいたり、同じ文章を選んできたりということも起こりました。新聞のコラムや、岩波ジュニア新書から選ぶことが多かったですね。選んだ読み物に合わせて問題を作成してみようとすると、うまく作れない、などということもあって、候補から外していったものも多かったです。

――「読むだけで終わらず、そこから広げたり、つなげたり」という教材にするために、構成の面でこだわったのはどんなことですか。

よくある読解の問いとして、語彙と文法について問うというやり方があると思うのですが、このシリーズではそれをしていません。テーマや内容について、イメージを膨らませられるような問いを付けています。選択肢から選ぶ問題がないことも特徴です。選択肢の問題は、文章を理解するための問いというより「文法知識」を問うていることもよくあるので、結果的に間違った読みへと誘導してしまうこともあると考えたからです。

イメージを膨らませるための問題としては、筆者の考えが変わっていくポイントをつかんだり、文章や段落内のことをパラフレーズしたり、明示されていないことをイメージして読み取ったり、というものを設定しています。

さらに「発展」という項目で、読み物に関連することについて調べ、話し合い、知識を広げて学生自身の考えとして表現することを目指しています。自分の力でテーマのある文章を読んだからこそ、発展につなげられると思います。授業の中ではこの「発展」が楽しいんです。

――実際にテキストを使ってみての感想や、届いている声などはありますか。

このテキストの狙いでもありますが、読解にとどまらず、意見を述べたり調べて発表したりするなど、多様な活動ができるところを評価してくださっている声がありました。出典をもとにして、映像を含め関連情報を集めた参考資料も作りやすかったという意見もありました。

また、いろいろなジャンルのテーマを扱っているので、学生の興味を惹きつけやすいという声が届いています。特に自分の将来を考えるようなテーマのものがいくつかありますが、20歳前後の学生にとっては自分のこととして捉えやすいようで、普段勉強熱心ではない学生も真剣に取り組んでいるようです。反対にあまり関心がなかった分野について「発展」の活動まで行うことで、興味・関心を広げることができたという声も届いています。

〇の選択肢の問題ではないから、きちんとした文で解答しなければならなくて、じっくり考えさせながらの授業になります。そのため、「発展」の作文では学生それぞれのテーマの捉え方の違いから、いろいろな意見が出てくるのが面白いそうです。

ある学校では、学生たちが筆者へ感想を書いて送ったところ筆者から返信があり、大変喜んでクラスで再度話し合ったりしたということです。

――著者の方から、これから使ってくださる方々へのメッセージはありますか。

一人で読み進めるのではなく、グループワークなどを取り入れながら授業を進めていただくといいと思います。意見交換などをして使ってもらうことに読解の意味があると思っています。

時間が足りなくて「発展」のところはカットして進めるということもあるかもしれませんが、忙しい学習者にとってはこの「発展」で調べることが情報源になります。このシリーズでは自分の生活や自分の国の事情と結び付けて考えられるテーマを提示しているので、「発展」に取り組むことでそこから考えが広がっていき、学生が社会を見つめ、生き方を考えるヒントが得られると思います。

――今日はどうもありがとうございました。

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