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日本語が必要な子供たちの教育

これから日本語教師の勉強を本格的に始めよう、日本語教師としてデビューしてみようと、今から計画を立てていらっしゃる方も多いと思います。ここでは、これから日本語教師を目指す人向けに、現在、日本語教育の大きなテーマの一つになっている「日本語が必要な子供たちの教育」について考えてみたいと思います。日本語が必要な子供たちの実態や最新の動きなどについてご紹介します。

増え続ける日本語が必要な子供たち

まずは日本語が必要な子供たちの数を見てみましょう。文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」によれば、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数は以下のように推移しており、この10年間で1.5倍に増えています。

2008年:33,470人

2010年:34,007人

2012年:33,148人

2014年:37,095人

2016年:43,947人

2018年:51,126人

中でも、公立高校における日本語指導が必要な生徒数は、この10年間で2.7倍に増えています。

2008年:1,562人

2010年:2,224人

2012年:2,410人

2014年:2,604人

2016年:3,372人

2018年:4,172人

しかしながら日本語指導が必要な高校生の数が増えている一方、その中で特別な指導を受けている生徒の割合は、外国籍で67.6%、日本国籍で64.6%となっており、この10年でむしろ減少しています。

高校生が抱える課題

2018年5月の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」から、日本語指導が必要な高校生が抱える課題を見てみましょう。

まず、中途退学についてです。日本語指導が必要な高校生等の中途退学者数は378人(中退率9.6%)と、全高校生等(特別支援学校の高等部は除く)の中途退学者数が28,929人(中退率1.3%)であることと比べて、中退率の割合が7倍以上になっています。

次に、高校卒業後の大学等進学の状況です。日本語指導が必要な高校生等の大学等進学者数は297人(進学率42.2%)と、全高校生等の大学等進学者数が533,118人(進学率71.1%)であることと比べて低い進学率に留まっています。また、日本語指導が必要な高校生等の中で非正規または一時的に就職した人数は98人(就職者における非正規就職率40.0%)と、全高校生等の非正規または一時的に就職した人数が6,746人(就職者における非正規就職率4.3%)であることと比べて、極めて大きな割合になっています。

さらに、日本語指導が必要な高校生等で卒業後に進学も就職もしていない者の人数は128人(就職も進学もしていない者の率18.2%)と、全高校生等で卒業後に進学も就職もしていない者の人数が50,373人(就職も進学もしていない者の率6.7%)であることと比べて、大きな割合になっています。

このような数値から見えてくる日本語指導が必要な高校生が抱えるさまざまな課題に対応するため、これまでも日本語指導が必要な生徒が多い高校では、日本語学習に関する学校設定教科・科目の設置、日本語能力に応じた指導などに取り組んできました。しかしながら、高校では基本的に教育内容は、教科・科目を履修する全ての生徒に共通のものになっており、多様な生徒の実態を考えると対応が難しい面もありました。

一方、小中学校では、児童生徒の日本語能力に応じて、指導の目標と指導内容を明記した個別の指導計画を作り、「特別の教育課程」を編成して日本語指導を行うことが可能になっています。そのため、高校においても「特別の教育課程」を導入することにより、生徒の日本語能力に応じた指導目標を設定し、きめ細かな日本語指導を可能にし、さらに中途退学の防止や卒業後の進路指導の充実を図る方向で準備が進められています。この制度設計に当たっては、外国人の子供たちが将来に渡って日本に居住し、共生社会の一員として日本社会を形成する存在であることを前提にする必要があります。

「特別の教育課程」で指導に当たる教員

高校に「特別の教育課程」が導入された場合、そこで日本語指導に当たる教員について、2021年9月にまとめられた「高等学校における日本語指導の制度化及び充実方策について」では、以下のように提言されています。

「特別の教育課程」を編成して行う日本語指導は、対象の生徒に対し別室等において日本語の授業を実施するものである。このため、指導を担当するのは高等学校等の教師が適切であると考える。なお、教育職員免許法(昭和24 年法律第147号)において、教諭・講師等を指す「教育職員」は、各相当の免許状を有する者でなければならないと規定されていることから、高等学校等において「特別の教育課程」による日本語指導を担当する教師は、高等学校教諭免許状を有する必要がある。

日本語指導を担当する教師については、生徒一人一人の実態を把握した上で、指導計画の作成やきめ細かな日本語指導等を行うことが求められる。このため、日本語指導に関する知識や経験を有する教師を担当に充てることが望ましい。また、日本語教育に関する専門知識や児童生徒に対する日本語指導の経験を有する外部人材を活用することは有効であり、このような人材と日本語指導担当教師が連携して指導に当たるような体制積極的に構築すべきである。

既に高校の教員免許を保持している日本語教師は、今後、高校への「特別の教育課程」が導入されることで活躍の場が広がることが期待されます。また、外部人材として日本語指導担当教員と連携できる可能性も出てきました。「特別の教育課程」を導入するためには省令の改正が必要であり、そのためのパブリックコメントの募集が2022年1月から行われました。新しい省令は2023年4月1日から施行される予定です。

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