【Merry Christmas】子ども向け商品大特価セール実施中! 【Merry Christmas】子ども向け商品大特価セール実施中!

検索関連結果

全ての検索結果 (0)
アナタも言語学が好きになる? いま話題の言語学ドタバタラブコメディー

突然ですが、皆さんは言語学や音声学が好きですか? どちらかというと「苦手」という人が多いのではないでしょうか。そんなアナタに朗報です。読んでいるうちに言語学に興味が出てくる不思議な漫画が一部の日本語教育関係者の間で話題になっています。その名も竹輪大学大学院言語学研究室の描く「アカデメイア・ロマンティカ」。9月初旬、原作者の「ヨン様」がアルクのオフィスを訪ねてくれました。(NJ編集部)

研究室仲間が冗談半分で始めた少女漫画

8月のお盆の時期と年末に行われる、世界最大規模の同人誌即売会、それがコミックマーケット(通称:コミケ)です。このコミケに2017年から出店しているサークルに「竹輪大学大学院言語学研究室」があります。そこで販売しているのは言語学をテーマにしたニッチな同人誌です。

サークル構成メンバーは、原作者の「ヨン様」、作画担当の「孔雀院はなはち」、そして「猫屋敷はごたえ」の3人。いずれもユニークなペンネームですが、皆さん、本業は大学などで言語学を研究しているれっきとした研究者です。9月初旬、原作者の「ヨン様」がアルクのオフィスを訪ねてくれましたので、いろいろとお話を伺いました。

もともと3人は大学の同じ言語学研究室の研究仲間でした。活動を始めたのは3人が博士課程の頃からだそうです。「言語学をテーマにした少女漫画を描いたら面白いのでは」というアイデアから、忙しい論文執筆の合間を縫って少しずつ漫画を描き貯めていきました。2017年のコミケに「竹輪大学Vol.1」を初めて出し、その後「竹輪大学Vol.4」まで作りました。

中身は少女漫画の王道ともいえるストーリー展開で、主人公の「竹輪大学」の大学院生の恒真入(こうしん・らむだ)が、編入生の硬口蓋摩擦(こうこうがい・まさつ)と出会うところから物語は始まります。アクセントや研究ノートをバカにされるなど最悪の出会いを経て、徐々に距離が縮まる二人。それを心良く思わないラムダの幼馴染、佐藤タブロー……。

形式意味論で使われる「ラムダ」「恒真式」「意味論的タブロー」などの学術用語や、音声学で出てくるアクセントの型、調音点・調音法などの専門用語が、さりげなくここかしこに出てきます。……奥が深い。

理論研究と実証研究は分かり合えない?

原作者の「ヨン様」がどうしても漫画の中に入れたかったセリフがいくつかあるそうです。

その一つが、ラムダのセリフ

「うわ~ん!遅刻遅刻! このままじゃ17時からのゼミに遅刻しちゃうよ~!!」

「17時で遅刻って変ですよね(笑)。でも、これが大学院生あるあるなんです。大学院では夕方から始まって夜に終わる授業も少なくありません。Twitterの反応を見ると、このセリフに共感してくれた大学院生が多かったようです(ヨン様)」

もう一つもラムダのセリフ

「理論研究と実証研究って、やっぱり分かりあえないの?」

「言語学もどんどん細分化されていって、理論研究と実証研究はおろか、同じ理論研究の中でも理論的な枠組みが異なると全く話が噛み合わないことすらあります。細分化され過ぎた今の学問状況を風刺めいた言葉で表したのがこのセリフなんです(ヨン様)」

しかし、ストーリーでは、理論研究の恒真入(こうしん・らむだ)と実証研究の硬口蓋摩擦(こうこうがい・まさつ)が、指導教官の指示で共同研究に取り組むことになります。果たして、二人の共同研究は完成するのか? そしてラムダの恋の行方は……? 続きが気になりますね。

反響はうれしいが、今後のことは未定

「私たちが漫画を描いていることは、周りの研究者や指導教官の中にも薄々感づいている人が出始めています。中には、漫画を読んだ上で評価してくださっている先生もいらっしゃいます(笑)。また、最近は人気の高いまとめサイトなどで取り上げられたこともあり、言語学のことを全く知らなくても、本書を見て楽しんでくれている読者も増えているようです(ヨン様)」

仲間3人で始めた活動は、言語学に関心を持ってくれる一般の人の裾野を広げ、言語学の中にいる人たちを勇気づけています。続編を待っているファンも多いと思いますが、「竹輪言語研究Vol.5」の執筆・発売予定は未定だそうです。本業の研究や論文執筆も忙しくなりなかなか時間が取れないのと、体力的にも厳しくなってきたとのこと。竹輪大学大学院言語学研究室の皆さんにはがんばっていただいて、続きを描いていただきたいですね。期待して待っています!

関連記事


ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(2)

ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(2)

日本語も日本文化もわからないまま、家庭の事情等で来日し、日本の学校に通う子どもたち。その学習にはさまざまな支援が必要です。子どもたちの気持ちに寄り添い、試行錯誤を続ける近藤美佳さんの記事、後編です。


ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(1)

ベトナムにルーツを持つ子どもたちが気づかせてくれたこと―多様な言語・文化的背景を持つ子どもたちとともに学ぶ、これからの学校(1)
国内の小中学校では外国籍、外国にルーツを持つ子どもたちが増え続けています。子どもたちへの日本語教育の重要性がようやく注目され、母語・母文化継承についても少しずつ認識されるようになってきました。

木村宗男と平和のための日本語教育

木村宗男と平和のための日本語教育
2024年4月より日本語教育機関認定法が施行され国家資格「登録日本語教員」制度が開始されます。戦後の日本語教育の歩みの中でも大きな転換点をむかえ、とりわけ、日本語教員養成は新たなフェーズに入ったと言えるでしょう。一方で、現代の地球社会には、環境や災害、紛争、感染症など、多くの危機的な問題が横たわっていて、日本語教育や日本語教師に求められる役割を広い視野で考えることも求められています。今回は、戦中・戦後に日本語教育に従事し、日本語教育学会の設立や教員養成に寄与した木村宗男に着目し、その活動と志向された平和のための日本語教育をご紹介します。