監修者からのことば

「通訳トレーニング入門」へようこそ!

柴田バネッサ ●テキスト監修

柴田バネッサ
通訳者、神田外語大学講師

本だけで物事が完結しなくなった現代ですが、英語を苦手とする人は常に存在します。そんな人にとって、海外の人とやりとりするためには「通訳」が必要不可欠。これからも、ますますいろいろな所で通訳が求められるようになるでしょう。

通訳技能は「訓練」で身に付くもの

訳は難しいと考える方が多いかもしれませんが、私たちがある言語を聞いてそれをほかの言語で理解しようとするとき、頭の中ではもう通訳が始まっているのです。それをすぐに口に出して言うという練習から始めれば、自然と通訳技能は身に付きます。しかし、この技能は、英語と日本語の両方が話せるからできるというわけではありません。訓練によって習得するものです。この講座で取り上げる「訓練」には、普段の英語学習で取り組んでいるような練習法もあれば、聞いたこともないようなものも出てくるでしょう。

最初のうちは、これらがうまくできるか、できないかが重要なわけではなく、それぞれのトレーニング・メソッドのやり方や目的、自己評価の考え方を明確に理解することが重要です。すぐにできなくても、練習の結果ちょっとできるようになり、1カ月後にはもっとできるようになっていればいいのです。この講座では、どの通訳者も実際に経験したことのあるような実践的な場面を取り上げながら、これらの訓練に取り組んでいきます。

通訳に正解なし

訳練習で覚えておくべきことを2つ挙げたいと思います。1つは、「表現法や訳出法が数え切れないほどある」ということです。1文に対する訳は1通りではないのです。日本語の「すみません」という一言だけでも、Excuse me.やThank you.、I'm sorry.など、場面に応じてさまざまな英訳が考えられます。その逆ももちろんあります。時と場合に応じて最も適切な言葉を選ぶことが大切です。

もう1つは「声に出して練習する」ということです。東京医科歯科大学の研究発表によると、声に出して訓練すると脳の負担が軽くなり、脳をバランス良く使えるとのことです。文章を声に出して音読したりして、自分自身の発声をチェックし調節すると、言語中枢を刺激することができ、「聞く・話す」という両方の能力が上がることが実証されています。「頭で理解すること」と「声に出して表現すること」のつながりをより強化するためにも、ぜひ口頭練習を毎日繰り返してください。

この講座を受講される方が、世界中で通用する異文化間のコミュニケーターとして活躍されることを願っています。

Good luck in your studies.
Vanessa

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